昨日のブログの続きです。

プレサンス元社長冤罪事件の山岸氏が国に賠償を求めて大阪地裁に提訴した裁判の、同じ6月11日の法廷で、山口智子検事の証人尋問が行われました。

チーママと呼ばれた女性検事は「法廷に呼ばれ、心外」と語った。プレサンス元社長冤罪事件国賠で証人尋問

山口智子検事は山岸氏の取り調べを行った検事です。

この方は尋問で、弁護士が、山岸さんの無罪判決の決定的な証拠となった「3月17日付けスキーム図」について、上司である蜂須賀検事からどのような指示をうけたうえで、事情聴取に臨んだのかについて尋ねたのに対して、

「確認して欲しいと言われたから確認してそれを伝えたのだと思います」

と答えています。そして、原告の弁護士が、

「蜂須賀主任検事よりこの書類についてどのような説明を受け、取調官としてどのような認識を持ったのか?」
「はじめて見たとき、どう思ったのか?」

には、

「いっぱい、そんな書類があったから、覚えていない」

と答えます。小田裁判長も、

「蜂須賀検事は(この書類について)どんな評価をしているのかとか、どういう方向性なのかということを言わなかったのか?」

と尋ねますが、

「確認してもらいたいと言われたので、確認したところ、知らないといわれたので、そのまま伝えた」

と返答します。裁判長は重ねて、

「御用聞きではないので、いろいろな角度からいろいろな仮説を持って検証するというのはなかったのか?」

と問うが、

「山岸さんは頭のいい方で、知らないと言うから本当に知らないんだと思った」

と答えます。
「こうしろと言われたので、そうしました」、「こう答えが返ってきたので、その通りに伝えました」ということです。この記事の著者によると、

「自分は兵隊。応援検事として上司から言われたことをやっただけ。同僚や上司がどう動き、なにを考えていたかはまったく知らない」

ということに尽きるとのことです。

この記事の著者、赤澤竜也氏自身が作家、編集者とのことなので記事の内容に脚色が入っている可能性はあります。しかし、この問答が本当のことだとすると、「検察という組織は、上位下逹である。上位の意向には逆らわない。」ということです。上申は可能かもしれませんが。
そう考えると、上司の意向が全てになります。昨日は「個人の資質の問題」と書きましたが、「上司の資質の問題」になります。下のものは逆らわないのですから。軍隊なら、上官の命令に逆らうことは死の、仲間の死の、全滅の危険があるために絶対なのです。逆に、上官が間違っている時も全滅しますが。それと同じことを実行してますと、山口検事は語っていると私には思われます。そう考えると「個人の資質の問題」ではなく「組織の問題」ですね。
どちらの問題であっても、根が深いですね。また、どちらが原因であっても、取り調べの録音録画も正しく行われない危険があります。削除したり、廃棄したりもあるでしょう。暗くなりますね。

そして今は、田渕大輔検事が東京高検検事、山口智子検事が大阪地検刑事部副部長だそうです。こういった土壌で育った、その上冤罪を着せたかもしれない検事たちが着々と昇進していくわけです。「資質」も同時に上がっていることを願います。

今回の尋問で、田渕検事は、

「山岸氏側の弁護士から無罪の感想を問われ「非常に残念な判決だった」と説明し、有罪の証拠は十分にあったと主張」

しています。今もこの事件は冤罪ではないと考えているということです。

昔司法試験は日本で一番難しい試験だと言われていました。そんな試験に合格した人たちです。そして、検事になるような人はその中でも特に賢い人でしょう。実際の「事件」も試験と同じだと考えているのでは、と考えてしまいます。自分たちの「解答」は正解、その「解答」通りになるべきだと考えているとしたら、恐ろしいことです。

判決がどうなるかはわかりませんが、正義が行われることを願います。そして、本当に冤罪であれば検察も変わることを望みます。