自動車メーカー5社の不正が報道されています。(ヤマハ発動機は二輪車メーカー)

自動車メーカーなど5社 “性能試験で不正” 出荷一部停止へ

昨年の

「ダイハツ工業などによる不正行為が相次いだことを受け」、
「国土交通省が同じようなケースがないか各社に調査を指示した」結果、
「自動車メーカーなど5社が車の性能試験で不正があった」

ということです。自動車認証試験で不正をしたということです。

自動車認証制度とは、

「自動車認証制度は、自動車メーカーの工場から出荷された段階であれば車検を通さずとも公道を走行できる状態であることを認める制度であり、型式指定を取得することは実質的に新車販売をするために必須といえる。」

です。この認証に合格している車は新車の販売時に車検をすることなくる消費者が使用できることになります。
この検査は、

「衝突安全性や排ガス浄化性能、騒音規制への合致などの試験」

を実施します。
この不正について、6月3日、トヨタ自動車代表取締役会長 豊田章男氏、同社カスタマーファースト推進部 本部長 宮本眞志氏が会見を開いています。

トヨタ、豊田章男会長が型式指定申請問題についてお詫び 「正しい認証プロセスを踏まずに量産販売してしまった」

ここで、豊田会長が、

「今回の問題は、正しい認証プロセスを踏まずに量産販売してしまった点にございます。」

と説明しています。自動車認証制度の試験が新車時の車検の代替だと考えればそのレベルなのかと思われます。
しかし、宮本本部長の説明の中に、エアバッグ性の確認や、歩行者とクルマが衝突した際の頭部へのダメージを確認をする試験が含まれているとのことです。それらを「開発試験データ」を使用していた。より厳しい条件だったということです。

他メーカーも同じような感じなのでしょう。私は素人なので、開発試験データ、少し手を加えたデータが実際に問題なのかは判断できません。しかし、「正しい認証プロセスを踏まずに量産販売してしまった」という認識でよいのでしょうか。

同じように、読売新聞の記事では、ホンダは

「悪質性は全くない」(三部敏宏社長)

としています。

別の読売新聞の記事では、

「メーカー側は、基準より厳しい試験と釈明するが、新車開発の競争が激しくなり、法規で定められた手順を省いたのではないか。」
「自動車産業は電気自動車への転換など大きな変革期にある。開発が複雑化し、認証試験の制度が時代に即していないとの指摘もある。国際競争力の低下を招かぬよう制度の再考も課題になろう。」

と述べています。確かに制度に問題があるのかもしれません。そこには改善が必要です。
しかし、また読売新聞の記事で、国土交通省は、

「トヨタ自動車で判明した不正行為6事例について、国の基準だけでなく日韓や欧州を含む62か国・地域が採用する「国連基準」にも反するとの見解」
「同じ不正があれば欧州などでも量産できない可能性が高い」

とのことです。より大きな問題になりそうな感じを受けます。


結局最初は労力を省くために「データの改ざん」、「社内検査の結果を流用」しただけなのです。同等のレベル、より厳しい条件だったので新たな検査をしなかったということでしょう。余計な作業をせず、労力を省いてショートカット、「ずる」をしただけでしょう。

しかし、不正になる「ずる」は良くないことです。今回は自動車を安全に運航するための試験です。重大な事故に発展するかもしれません。

「ずる」をしないことは難しいです。「ずる」と「不正」の境をきちんと見極める必要があります。そして、自分に厳しく、きちんと律することが必要です。他人に流されることもなく、他人にも指摘できないといけません。なかなかそんな人はいません。一流と呼ばれる人であれば可能でしょうか。オリンピックに出場する人、プロと呼ばれる人。
とはいえ、そんな人も一生制御できないようです。メダリストが犯罪に手を染めた事件が時々報道されます。やはり、人は「ずる」をするものです。それを犯罪のレベルにしないことが大事なのでしょう。そのために、法律、制度があります。

今回はその制度、自動車認証制度を破ったのですから、やはり犯罪ですね。どう言い繕っても。法律、制度だけでは防げないことは確かですね。
もう一つ、「ずる」と「不正」の境がわからない人が時々います。こちらの方が問題は大きいと思います。