6月1日から、松阪市内の基幹3病院が、救急車で運ばれたが入院しなかった軽症患者に対して、7700円を徴収する、と読売新聞が報道しています。

救急車「軽症有料」に賛否 出動数抑制/呼びにくい 入院しない患者に7700円 松阪市きょうから

「救急出動件数が増加し、救急医療体制が 逼迫する懸念が出ていることを受け、軽症者による救急車の利用を抑制する狙い」
「軽症患者からは、紹介状なしで受診した場合に請求する「選定療養費」として7700円を徴収」
「同様の取り組みは伊勢赤十字病院(伊勢市)で2008年から行われている」

とのことです。

「重症、緊急でない人が救急車を使ったために、本当に必要な人を救うことができなくなる」ということです。タクシー代わりに使ったり、受診の順番を待ちたくないので救急車を使う人がいると聞いたことがあります。そういう人のために、助かる命が助からないというのは問題です。

とは言っても、素人にはその判断は難しい。だから「市民からは賛否の声が上がっている」のは理解できます。
結局、市民と行政の合意でどこかに落ち着くしかないです。
軽症なのに使った人のために重症者が亡くなるのか、有料のために躊躇して救急車を呼ばずに亡くなるのか、それらをどのレベルで折り合いをつけるかなのです。通常時は問題ないのですが、逼迫時にどうするのかなのです。
残念ながら全員を助けることはシステム上不可能です。


同じようなことは、「生活保護」でも言えます。
生活保護費を不正受給する事件がよく発生します。そこで、認可の厳格化、条件の厳格化という声があります。

そのために、2007年12月に北九州市で生活保護を強制辞退させたために亡くなった男性がいます。
また、2021年に「税金をもらって生きるのは他人に迷惑をかける」などと考えて生活保護を受給せずに寝たきり状態の姉を殺害した妹の事件がありました。
どちらも悲惨な事件です。憤りさえ感じます。
このような事件もよく発生しています。だから、いろいろ対策がなされますがなくなる気配がありません。フリーライド、ずるをする人が後を絶ちません。犯罪なのですが。そのために、必要な人が受給できなくなります。そのためだけでなく運用の不備によっても。必ず、上と下で漏れが出ます。

どんなシステムもそこから漏れてしまう案件は必ずあるものだと私は考えています。「完全」と言えるシステムは存在しない、と思います。「完璧」に運用したとしても、上と下で必ず漏れます。より良いシステムにすることは当然ですが、それでも漏れが出ます。その漏れを減らすために国民が合意したレベルのシステムにするしかありません。残酷なことですが、漏れた人には申し訳ないですが諦めてもらうしかないのです。
それを最終的に決めるのが、政治、政治家なのですが、今の政治家は何をやっているのでしょうか。

ただ、私の希望としては、「下をできるだけ救ってくれる」システムにしてほしいと願っています。費用が掛かってもです。