「人口戦略会議」が2024年4月に発表した「令和6年・地方自治体「持続可能性」分析レポート」についての話です。4月25日のブログで少し触れました。
自治体ごとの分析結果がこちらでになっています。

この分析の中で、「消滅可能性自治体」という言葉があります。
この言葉の定義は、

「若年女性人口が2020年から2050年までの30年間で50%以上減少する自治体」

ということです。直接的に「自治体がなくなる」とは言っているわけではないんですね。
言葉の使い方に問題があると思います。ある目的を意図して言葉を使うのは政治家、行政、メディアを含めて行ていることです。このブログも変わりありません。驚くことではないです。

閑話休題。このデータをまともに受け取っていいのか、私には疑問があります。分析対象データにもです。
2022(令和4)年の合計特殊出生率(*)は1.26です。沖縄県1.70、宮崎県1.63、鳥取県1.60、島根県1.57、大阪府1.22、京都府1.18、神奈川県1.17、東京都1.04、など

(*): 合計特殊出生率は、15歳から49歳までの女性の年齢別出生率を合計したもので、1人の女性が仮にその年次の年齢別出生率で一生の間に生むとしたときの平均子ども数に相当します。

上記のデータから、女性の出生の数は半分になるので、人口の移動がないとして日本では0.62、沖縄県0.85、東京都0.52となります。つまり単純に、30年後の女性は、日本で62%、沖縄県で85%、東京都で52%となるということです。
これを見ると、もともとのデータから減少するのは明らかなのです。そして、多くの都道府県で、「50%以上減少する」までのレベルはすぐ近くにあるのです。
つまり、このようなデータと将来の予想データを比較すべきだと、私は考えますが。


「人口戦略会議」のこの分析にいろいろな批判があります。

「“消滅可能性” 自治体の努力に水を差す」全国町村会が批判
[論説]消滅可能性自治体 推計に意味はあるのか
消滅可能性自治体公表 丸山知事「日本全体の問題を市町村の問題にすり替えている」「ナンセンスだ」 人口偏在放置を批判「東京の出生率は最低だ」

現実を受け入れ、その対応を考えるのは重要ですが、批判内容も当然だと考えます。
まだまだ書きたいことがあるので続けます。(国際情勢等によって断続的になるでしょうが)