少し前にNHKラジオがNHKジャーナルで肺MAC症について放送していました。
放送では、結核予防会複十字病院 安全管理特任部長 尾形英雄先生がお話しされていました。
個人的に気になったので、先生の話をまとめてみます。


肺マック症は、2種類の菌

マイコバクテリウム・アビウム
マイコバクテリウム・イントラセルラーレ

に感染する肺の病気です。
この2種類の菌は結核菌に似た菌で、結核菌の前の菌です。(結核菌よりも古い菌、先祖の菌という意味のようです)
現在の結核患者は今2万人弱ですが、肺MAC症の患者は10年前のデータで15万人です。結核に比べて明らかに多いので注意が必要です。

この肺MAC症の特徴は、

中高年の女性、
BMIが18.6未満の痩せた方、食の細い方が

感染しやすい。10年以上かけてジワリジワリ進む病気です。

症状は、咳、痰、血痰がでます。
軽症のうちから血痰が出ます。徐々に進行していくと、呼吸困難、微熱の継続、食欲の低下がみられます。中には酸素療法を必要になる人が出てきます。

咳、痰、血痰が出ている方は、2週間以上咳や痰が続くと何らかの問題があると考えられますので、病院で検査をしてください。

検査は、まず肺のレントゲン撮影になります。
次に、胸部CTスキャンでの検査になります。
これで肺MAC症の疑いがあると判定されると、痰の検査、痰の中に菌があるかどうかの検査になります。1回ではなく複数回検査します。これは菌が通常にいる菌なので偶然菌がいると判定されることがあるからです。
その検査で肺MAC症だと判定された場合、治療するかどうかを決めることになります。

治療については、

1~2割自然に治ることがあるので、経過を見るということがしばしばあります。
進行している場合はすぐに治療になります。
3種類の薬を合わせて、2年、もしくは、4年間服用することになります。

しかし、結核と違いキードラッグ(完治が望める薬)がないので、必ずしも治る病気ではありません。
これは、結核と違って人から人へ感染らないという特性を持っているため、ニーズが高くなかったためです。しかし、世界的に患者が増えていることから開発が増えていくと考えられるます。

MACの菌は、自然の中に、土、水の中にいると考えられています。
マイコバクテリウム・アビウムは41~2℃で増殖しやすい傾向があります。居住環境がよくなったため、お風呂など常時お湯が出るような環境のために感染しやすくなっています。
マイコバクテリウム・イントラセルラーレは土の中にいるので、ガーデニングなどでの感染が増えています。
居住環境の近くにいる菌なので、避けるのは難しい。

しかし、同じお風呂を使っていてもご主人(男性)はまず感染しません。感染した方に気を使うべきで、風呂に菌がいると言って騒がないことです。

亡くなるケースもあります。2022年のデータでは2000人を少し越えた方がなくなっています。しかし、癌、結核のように急に亡くなるのではなく、治療をした結果うまくいかなかった方が亡くなるということです。
多くの方は、この菌によって寿命が短くなるわけではないと考えています。

しっかりと知識を持つことが大事です。


Q. 体質改善は有効ですか?
やせ型というところが大きな特徴です。
栄養状態をよくする、高たんぱく食を摂る、筋力増強をするというような体質改善は、肺MAC症にかかりにくくするということで有効だと考えられます。

Q. 肺に何か基礎疾患があると肺MAC症に罹りやすいでしょうか?
多くの方は肺に基礎疾患がない方です。こちらを一次MAC症と呼びます。
2次MAC症、以前に結核、喫煙者の肺気腫、気管支拡張に罹患していた方もいらっしゃいますが、どちらかというと少数です。
肺MAC症から肺癌への関連はないと考えられています。肺癌の方は多くの方が喫煙者で、肺MAC症は多くの方が非喫煙者です。しかし、非喫煙者も肺がんになる方もいますので、肺MAC症の方が偶然に肺癌になることもありますが頻度的にはまれなほうです。

まだ知られていない病気なので、インターネット上には間違った情報が多いと思います。

 


以上が、先生の話された内容です。(できるだけ忠実に書いたつもりですが、間違いがある可能性があります)

ちなみに、BMIですが、以下のサイトで身長、体重から算出できます。算出する計算式もあります。

BMIと適正体重 - 高精度計算サイト


私の母も肺MAC症で亡くなったので注意喚起の意味で、情報を残します。
特徴にピッタリでした。10数年以上前に分かって薬を飲んでいました。一時期は肺の影も小さくなったりしてましたが、高齢になったためか一段と食が細くなってから悪くなりました。どんな病気もそうですが、自然治癒力を上げるために栄養をつけるのが基本ですが、逆の方向になる症状なんですよね。
体質改善が重要なようです。感染らないためにも、たとえ感染っても。
そして、同じ環境でも感染る人、感染らない人がいるのも見落としてはいけないようです。過度に過敏にならないことです。

そして、もう一つ。
肺MAC症はまだよく知られていない病気なので、インターネット上には間違った情報が多いとのことです。このブログもそうです。疑わしい場合は病院で検査されることをお勧めします。
他の情報にも言えますが、ネット上の情報は玉石混淆です。しっかりと調査しましょう!