先週NHKおはよう日本で、「繁殖引退犬が行き場を失っている」というニュースが放送されました。
ネットでの情報はこちらです。
 

10万頭の犬が行き場を失う?手放される“繁殖引退犬”

 


試算によると10万頭の繁殖引退犬がいると言います。一挙にこれだけの数が出ると「行き場」がなくなるのは当然だと思われます。
その原因が、コロナ禍があけて子犬の価格が下落した、物価高でエサ代、光熱費の高騰、経営難、2019年の動物愛護法の改正だそうです。

誤解を恐れず言わせていただければ、このような悲惨な状況は経済至上主義、金銭至上主義が主流の現代においては起こるべきして起きている。

子犬の価格、エサ代、光熱費、経営難はまさに経済ですし、お金です。
また、動物愛護法の改正の主な目的は、悪質なブリーダーの排除です。劣悪な環境で繁殖を行う事業者を排除するためです。なぜ劣悪な環境で繁殖を行うかといえば、より安い経費で、より高く、より多く売りたいからです。まさしく、経済、お金なんです。

動物愛護法の改正にしても、数値規制を決めたときから、こうした事態は想定できたと専門家が指摘しています。「数値規制に2年間の段階的な猶予期間があったので、ペット業界の努力不足」だそうです。
ごもっともな話です。正論ですね。
しかし、2年間で可能だったのでしょうか? ペット業界へのサポートはあったのでしょうか? 何らかの施策があったのでしょうか?
また、ペット業界はどうすれば良かったのか? 同時に子犬も商品として流通しているのです。
放送でカットされた部分で話されているかもしれませんが。専門家、知識人といわれる人は、狭い分野の専門家で問題の分野に少し関係している程度の人、もしくは、専門家であるために広く考えることができないし、考える責任はない考えていると私は感じています。
この手の問題は、その問題だけでなく、関連も含めて大きく考えないと解決できないし、新しい問題が起きます。今回もいい例です。

また、繁殖引退犬の譲渡でも問題が起きます。ゲージで買われていた繁殖引退犬の散歩、トイレの訓練。そして、譲渡団体への寄付金問題。まさにお金です。

劣悪な環境は繁殖犬に関するものだけではありません。牛、豚、鶏などの家畜にも当てはまります。フィードロットの問題もあります。(O157は、1980年代にアメリカのフィードロットが原因だとどこかで読んだことがあります。これについては確証はないですが)
古い情報なので、今はリンクが切れていますが、
 

集中家畜飼養の 恥ずべき現状

 

 


飼育状況の写真は衝撃です。「産業化された動物工場」、「工業的農業」、まさに言い当てています。すべてに「工業化」を当てはめています。近代がもたらした考え方の反映です。
これらが可能だと考えることに問題があると思います。声を上げることは必要ですね。

そして、簡単な解決策はないということを認識することが必要です。一つの問題だけが独立して存在することはありません。そして、何かが変わると、新しい変化が起きます。いい方向にも、悪い方向にも。
そのために、広く見ること、聞くこと、話をすることが大事です。

最後は、我々ひとりひとりの品性、感性、人格の問題だと思います。直接問題にかかわっているか否かに関わらず。
知らないふりをするということも一つのかかわり方です。世の中の一員として悪い方に関与しています。
そういう意味で、「自分自身に反省」です。