Yahoo!ニュースで『影響深刻 追いつめられる地域医療 膨らむ累積赤字 中核病院が完全閉鎖へ なにが?病院長が語る実態 【福岡発】』という記事を見つけました。元の記事は15日のFNNプライムオンラインの記事、
影響深刻 追いつめられる地域医療 膨らむ累積赤字 中核病院が完全閉鎖へ なにが?病院長が語る実態 【福岡発】
です。
福岡・久留米市の『久留米大学医療センター』が、2027年12月までに閉鎖されるということです。このニュースは先月発表されたもののようで、
TBS NEWS DIG 2026年5月27日: 久留米大学医療センター 2027年末までに完全閉鎖へ 産業医科大若松病院も閉鎖を発表 地域医療への影響懸念 福岡
日テレNEWS 2026年5月27日: 久留米大学医療センターが2027年末に完全閉鎖へ 産業医科大学若松病院も閉院の方針 福岡
読売新聞 2026年5月29日: 久留米大学、医療センターを事実上閉院へ…外来診療を段階的に再編・縮小し大学病院に統合する方針
などの記事があります。
2025年5月に久留米大学が、経営状況が厳しくなったとして医療センターの入院病棟を2028年3月までに久留米大学病院に統合すると発表していたが、入院病棟だけではなく外来診療も段階的に取りやめることにし、2027年12月までに完全に閉鎖することにしたということです。FNNプライムオンラインの記事は、この決断に至った経緯を久留米大学医療センター 恵紙英昭・病院長に取材したものです。
久留米大学医療センターは、統廃合で閉鎖の危機にあった国立病院を久留米大学が引き継ぎ、1994年に開院した。
「最初の段階、国立病院時代から赤字だったんですけどね。やはりなかなか採算が合わないっていうのが、ずっと長年続いてきて、ここ最近の10年間が、急激に赤字が膨らんできた。久留米大学全体で、この赤字を補填しながら31年間やってきたんですけども、さすがにこのままでは、段々その大学全体が立ち行かなくなるだろうということで…」
この10年で急激に赤字が膨らんだ理由は?
「物価高ですね。医療材料が高騰だったり、エネルギーの高騰だったり、いろんな複合的な要因で…。診療報酬の問題もあります。一般急性期と地域包括と回復期リハということでやっていくと、どうしてもやっぱり診療報酬上は点数が低いという状況で、うちの規模でいくとなかなか採算が合わない。ここ10年間が、もう特に著明に出てきています」
政府は6月1日から物価高や賃上げに対応して診療報酬を30年振りに大幅に引き上げた。しかし、
「全く追いつかない、収入は少しずつ上がってはいるんですけども、その支出の部分の方が大きくて、どうしても“焼け石に水”みたいな状況になってきてですね。そうすればやはり、特定機能病院の大学病院でやった方が、より高度な医療を提供して、かつ診療報酬も高いというところになるので」
診療報酬が上がっても赤字がかさみ、赤字を補填していた大学への影響が出るようになったということのようです。
医療関係のことはわからないのですが、googleで「病床 規模」で検索すると、
・大規模病院(500床以上): 大学病院や高度専門医療機関。最先端の医療機器を備え、多くの診療科や専門外来を有しています。
・中規模病院(100〜499床): 地域の中核を担う総合病院。幅広い疾患に対応し、地域医療支援病院などに指定されていることが多いです。
・小規模病院・診療所(20〜99床・20床未満): 地域密着型の病院や個人クリニック。
ということです。
久留米大学医療センターは250床ということなので、中規模病院、地域の中核を担う総合病院ということになるようです。そして、「病床規模別病院数の割合」(厚生労働省、PDF文書)、「病院の病床規模別割合【令和2(2020)年】」(病院ウェブリンク)から上位30%の中に入っています。
工場や小売業などでは規模が大きくなるほど規模のメリットが出てくると言われます。病院も同じ、病床数が多ければ規模が大きいと考えると規模のメリットが出てくるはずです。ところが医療センターでは赤字が続く状態だということです。医療センターの病床数以下の施設、病院は70%あるのですが、これらが黒字を出すことは難しいのではないかと思われます。そして、日本には病院がなくなってしまうのではないかと思われます。というか、毎日どこかの病院が廃業していてもおかしくないという印象を受けます。確かに廃業、閉院している病院は確かに報道されていますが、そこまで多くはないようです。
ということは、医療センターが閉鎖に陥るほどの赤字になっているのは病床の規模ではない別の要因のようです。病院長が語っている「一般急性期と地域包括と回復期リハということでやっていくと、どうしてもやっぱり診療報酬上は点数が低い」ということにありそうです。FNNプライムオンラインの記事の画像でもあるように、
診療報酬 高 低
「高度急性期医療」 > 「慢性疾患医療」、「回復期リハビリ」
にありそうです。医療センターは「慢性疾患医療」、「回復期リハビリ」を主に治療していたので、この規模では利益を上げることができなかったということになります。
とすると、「慢性疾患医療」、「回復期リハビリ」は儲からないので「高度急性期医療」に軸足を移すところが多くなるはずです。そして、「慢性疾患医療」、「回復期リハビリ」を治療しなくなるようになるでしょう。医療センターが大学病院に統合するように。
しかし、「慢性疾患医療」、「回復期リハビリ」の患者がいるのですからこれを治療してくれる病院がなくなることは重大な問題です。ところが、病院の利益追求と存続を考えると「慢性疾患医療」、「回復期リハビリ」の病院はなくなっていく方向しか考えられません。
そう考えていくと、医療政策、診療報酬制度に問題がありそうだと思えるのですが。素人の推論なので間違っているのでしょうか。それとも経営が悪すぎた結果でしょうか。とはいえ、地域医療の中核を担ってきた病院がなくなるような事態が起こっていることは確かです。地方からどんどん医療機関がなくなっていくような事態にならないことを願います。
もう一つ、久留米市は福岡県の地方都市です。福岡県は九州の中でも過疎化が少なく人の流入が比較的多いはずです。久留米市は県庁所在地とは違うので過疎化が深刻なのでしょうか。それが原因の一つかもしれないですね。ということは、地方の中でも比較的大きな都市と小さな都市での格差があるということです。そうだとすると、都会と地方の格差は是正できるレベルはとっくに越してしまったのかもしれないです。