7月24日の東京新聞の記事、

原発の新増設費、電気代上乗せ 電力会社支援案が浮上、反発必至

で、

「原発の新増設の建設費を電気料金に上乗せできるようにする支援制度案が政府内で浮上」

していると報じています。
内容は、

「国が認可した原発の建設が始まった時点で建設費や維持費などを電気事業者の小売会社が負担し、電気料金に組み込んで回収」
「建設費が当初計画より増えた場合でも必要経費と認められれば、料金に転嫁できる」

です。経済産業省がこれから「具体的な制度設計の検討に入る」ということなので、上記内容通りかどうかはわかりません。これから変わるありえるということでしょう。

この内容で驚くのは、「稼働もしていない建設時点から料金を徴収する」、そして「建設費が増えたら、その分料金に上乗せする」ということです。私企業なので利益を追求するという当たり前の行為をしているだけという発想なのでしょう。それを政府、行政としては後押ししますというスタンスです。
しかし、電力事業は「公益事業」だったはずですが。とはいっても、政府、行政が肩入れしている以上意味がないですね。いくら外野が騒いでも。


という不満はあるのですが、それよりも問題だと私が考えるのは、

「原発の新規増設」

です。「4.11」後に増設しない方針だったと思うのですが。結局日本の電力は「原発」に依存することに決まったのですね。いつ決定したのでしょうか。

運転期限の制限がなかったものが、2012年の原子炉等規制法の改正で「運転期間延長認可制度」(プラントの運転期間を原則40年。その満了までに原子力規制委員会の認可を受けた場合には、1回に限り最大20年の運転延長を認める)ができました
それが、2023年5月31日の参院本会議の採決で最長60年を超えて運転可能になりました。この前に決まったのでしょうか。私の勘違いで、最初から新規増設は可能だったのでしょうか。私は「新規増設」には反対なのですが。

結局、温暖化対策とコストの関係でなし崩しになるだろうとは思っていましたが、予想通りその通りになりました。
しかし、このコスト、2020年の発電コスト、【資源エネルギー庁試算、1kWhあたりの発電コスト】は以下になります。

 

 

火力発電 石炭火力発電:12.5円
LNG火力発電:10.7円
石油火力発電:26.7円
原子力発電 11.5円~
太陽光発電 住宅用太陽光発電:17.7円
産業用太陽光発電:12.9円
風力発電 陸上風力発電:19.8円
洋上風力発電:30.0円
水力発電 小水力発電:25.3円
中水力発電:10.9円
地熱発電 16.7円
バイオマス発電 混焼、5%:13.2円
専焼:29.8円


確かに、原子力発電のコスト「11.5円~」は最低と言っていいでしょう。(LNG火力発電の「10.7円」がありますが)
しかしこのコストには核燃料の廃棄費用は入っていません。当たり前ですよね。最終処分方法も決まっていません。地下に埋めるという方法も最終処分場の場所も決まっていません。たとえ地下に埋めるとしても数万年から十数万年の間埋めっておかないといけないのです。そのまま放置でよければいいのですが、そういうわけにも行きません。管理しないといけないのです。そのようなコストが出るわけないですよね。なので、この廃棄費用を加算するのは現実的にできないのです。それをいいことに「意図的に加算していない」と私は認識しています。


とは言っても、「夏の暑さ」、「冬の寒さ」に国民は耐えられないですよね。電気がないと産業界はビジネスができません。工場でも、ビルでも、事務所でも、ショッピングモールでも、商店でも、JRでも、電気がないと何もできなくなります。「原発が稼働しないから電力が足りない」と言えば、「動かせ」ということになりますよね。
そこに裏があると私は考えるのですが。

同じ論理、脅しで、今回の「原発の新増設支援案」は現実になることでしょう。「

最長60年を超えて運転可能」にしたときは与野党関係なく賛成したのですから。