9月29日のブログ「パレスチナ国家承認」で書いた映画「ネタニヤフ調書 汚職と戦争」を見てきました。この映画は、イスラエルのネタニヤフ首相が起訴されている贈収賄事件のドキュメンタリー映画です。警察の取り調べ、関係者へのインタビューなどで構成されています。

取り調べでは自分に不利になることは話さないでしょうから、どれが事実なのかは難しいところです。とはいえ、贈賄側の主犯でなく従犯者、実際に贈り物などを手配した人たちは贈賄を認めています。
一方、収賄側のネタニヤフ首相は「友人としてのプレゼント」と主張します。首相の妻への宝石やワインについては「知らない」、「覚えていない」と言います。見返りに行った政治的な判断や行為については「イスラエルのために行った」と説明します。プレゼントを要求した首相の妻は、「世界で尊敬されている首相や自分を貶めようとしている」、「メディアに騙されている」と主張して話がかみ合いません。
このような場合の主張や弁明はほとんど変わりがないですね。日本でも一般的な犯罪者から政治家まで同じようなことを言うので。「知らない」、「覚えていない」は常とう句です。

この映画を見ていると贈収賄は実際に起きたと感じます。証言などからそう推測できます。とはいえ、決定的な証拠があるわけではないです。映画の中でもその証拠は出てきません。証言はありますが。この映画を見た多くの人は「ギルティ」だと思うでしょう。しかし、証拠がない以上は有罪ではないです。それにまだ裁判の結果が出ていません。
とはいえ、上映禁止にするほどなのかは疑問です。イスラエル、アメリカでは上映禁止になったそうです。上映された場合の裁判への影響を考えてなのでしょう。この映画での上映された取り調べ内容は裁判でも取り上げられるものなので影響はほとんど変わらないと思います。国民への影響は大きいので、こちらを心配したものでしょう。しかし、「民主国家」と言っているのであれば、逆に上映禁止にする方が余計に疑いをもたれると思います。そんなに単純ではないということでしょうか。政治家ではないのでわからないですね。


この映画の中で驚いたのは、ネタニヤフ首相は以前からカタールを経由してハマスへ資金提供していたということです。当然、カタールはこの事実を認めていません。そして、映画ではこの証拠が提示されません。しかし、そういこともあり得ることだと思います。ネタニヤフ首相としては、パレスチナ自自政府とハマスが仲違いしていた方が良いですから、あり得ます。もしそうであれば、停戦中のガザ戦争の発端、2023年10月7日のハマスがイスラエルへ越境して民間人を攻撃した事件の原因を作っていたことになります。ネタニヤフ首相の「イスラエルのため」とはイスラエルの民間人ではない人たちということなのでしょうね。


そして、この映画は、今回のガザ戦争を自分の贈収賄事件を隠すために利用していると言います。だからでしょう、ガザ地区だけでなくイラン、レバノン、シリアへも攻撃しています。ネタニヤフ首相にとっては戦争が終わるのは都合が悪いということです。
現在は一応停戦中ですが今後どうなるかはわかりません。ハマスも戦闘力が残っているとは思えないのでこのまま停戦の継続も十分あり得ます。そのためか、11月13日付のロイターの記事「トランプ氏、ネタニヤフ氏への恩赦要請 イスラエル大統領に」で、

イスラエル大統領府は12日、ネタニヤフ首相に恩赦を与えることを検討するよう求めるトランプ米大統領からの書簡を受け取ったと発表した

ということです。また、12月1日付のAFPの記事「ネタニヤフ氏、汚職疑惑で恩赦を申請」では、

汚職容疑で裁判中のイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は30日、恩赦を申請したと明かし、長期にわたる裁判が国を分断していると述べた

と伝えています。
この記事によるとイスラエルのヘルツォグ大統領は恩赦を前向きに検討しているようです。民主主義国家で、法治国家ですよね。とはいえ、恩赦はよくありますよね。アメリカでも韓国でもありました。すっきりしないですね。