仕事始めから不正が発覚しました。5日に中部電力の林欣吾社長が記者会見し、浜岡原発(静岡県御前崎市)の再稼働審査のデータで、想定される地震の揺れ(基準地震動)を過小評価していた疑いがあると発表しました。その後、再稼働を審査する原子力規制委員会の山中伸介委員長が7日の定例記者会見で、再稼働審査について「白紙になると思う」と語りました。。浜岡原発の再稼働は遅れることが確実のようです。5日、7日は色々なメディアが報道しました。例えば、
時事通信 2026年1月5日: 浜岡原発、想定地震を過小評価か 規制委審査に「重大な影響の恐れ」―社長陳謝・中部電
時事通信 2026年1月6日: 中部電の審査不正、公益通報で把握 昨年2月に、対応協議へ―規制委
時事通信 2026年1月7日: 「大きな失望」「台無し」 規制委員ら、口々に非難―浜岡原発の不正
時事通信 2026年1月07日: 浜岡原発審査、「白紙」見通し 規制委員長「明らかな捏造」―立ち入り検査も・中部電データ不正
TBS NEWS DIG 2026年1月7日(水): 再稼働の審査は白紙に…中部電力による浜岡原発めぐるデータ不正 原子力規制委員会・委員長は厳しく批判「安全規制に対する暴挙」
日経新聞 2026年1月5日: 中部電力社長、原子力部門「解体的な再構築」 浜岡の地震評価不正
日経新聞 2026年1月6日: 浜岡原発の安全審査中断 信頼揺るがした中部電、ガバナンス不全鮮明
日経新聞 2026年1月6日: 浜岡原発の地震評価「審査の前提覆る不正行為」 原子力規制庁
日経新聞 2026年1月7日: 浜岡原発の評価不正、規制委が審査白紙に 中部電本店立ち入り検査へ
読売新聞 2026年1月7日: 浜岡原発の不正 安全性揺るがす深刻な事態だ
読売新聞 2026年1月7日: 浜岡原発データ不正、規制委が中部電力本店に立ち入り検査の方針…不正発覚のきっかけは外部からの情報提供
ロイター 2026年1月7日: 規制委、浜岡原発は審査白紙・中部電検査へ 委員長「不許可判断も」
などです。結構重大な問題だと思うのですが、メディアの取り上げ方は比較的に少ないと感じています。内容が難しいことと、説明すると長くなるのでニュースの受けがよくないからでしょうね。しかし、この事件は重要だと思いますが。
私が最初に知ったのは中部電力社長の記者会見のニュースでした。中部電力内部からの情報なのかと思っていたのですが、どうも違っているようです。6日付の日経新聞の記事「浜岡原発の地震評価「審査の前提覆る不正行為」 原子力規制庁」では、
規制委による浜岡原発の安全審査では、2025年2月に外部から地震評価に関する情報提供があり、規制委として調査を始めていたという。
と伝えています。6日付の時事通信の記事「中部電の審査不正、公益通報で把握 昨年2月に、対応協議へ―規制委」、7日付の読売新聞の記事「浜岡原発データ不正、規制委が中部電力本店に立ち入り検査の方針…不正発覚のきっかけは外部からの情報提供」でもほぼ同じような内容で、「昨年2月の「公益通報制度」による外部からの情報提供」だということです。
そして、不正データの内容は、6日付の日経新聞の記事「浜岡原発の安全審査中断 信頼揺るがした中部電、ガバナンス不全鮮明」では、
中部電力は地震が発生した場合の揺れを評価する際、小さい地震を基にした計算条件が異なる20通りの波を算出。その中から最も平均に近いものを代表波として位置付け、大地震の揺れを推定する、という手法を規制委に報告していた。
ただ実際には報告とは異なり、20通りのセットを複数つくり、その中から都合のいいものを1セット選んでいた可能性がある。さらに平均に最も近いものでないものを代表波としていた。
と伝えています。地震波の平均を使用すると報告していたのに「都合のいい」波を使用したデータを提出したということです。
そして、
浜岡原発で想定される最大の地震の揺れである「基準地震動」について、規制委は2023年に「おおむね了承」した。
ということです。手法を報告した時か、代表波のデータを提出した時かは不明ですが、原子力規制委員会は中部電力が説明したデータを「了承」しています。これを元に再稼働の審査をしていたわけですから、間違った地震対策になっていたことになります。そのため再稼働の審査が「白紙」になるのは当然です。
ところで、このデータ不正問題は、原子力規制委員会の外部からの情報提供で発覚しました。どのような立場の方が情報提供したのか、どんな内容だったのかは私にはわかりません。この分野のことについては無知なのでわかりませんが、原子力規制委員会ではデータの不正を見抜けなかったということです。これは重大な問題だと私には思えます。
中部電力が不正なデータを提出したのが悪いということは確かです。しかし、審査を通るようにしようとする側にとってはできるだけ通りやすいようにデータを揃えようとします。当然ですよね、審査に通らなければ目的を達しないわけですから。出来るだけ正確にデータをそろえるはずです。しかし、なかなかうまくいかなかったり、データがそろわなかったりすると魔が差してしまい、データを操作したりするということがあります。不正、ズルをしてしまうわけです。学術論文でもよく問題が発生している事件です。やってはいけない不正、ズルを中部電力がやってしまったわけです。不正を正す組織ができていれば、中部電力内で発覚し、不正なデータが原子力規制委員会へ提出されることはなかったでしょう。しかし、中部電力社内では不正を正すことができなかったわけです。
そこで、最後の砦になるのが原子力規制委員会です。審査をする原子力規制委員会がこの不正を見つけることができればいいわけです。ところが不正は見逃されてしまいました。幸いにも外部からの情報提供で不正が明らかになったのでよかったのですが。しかし、最も重要な原子力規制委員会が見逃してしまったことは大問題です。2011年の福島第一原発事故の教訓にできた組織なのにです。政府機関は人も資金も能力も足りないと言われますがその通りのようですね。一番の問題は中部電力ですが、原子力規制委員会の能力不足も問題だと思います。何もわかっていないものが言うのもなんですが、こんなことでいいのでしょうか。
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