お隣の庄屋さんの飼い猫「りゅう」
とは言え、5年も前からウチの両親が去勢をし、ワクチンを打ち、朝晩餌をやり、レボリューションをしておる。
…それは、飼い猫とは言わんか?
その、飼い主と言い張る庄屋どんがのう、呆けてしまったげな。
御ん歳90歳。
一人暮らし。
身寄りがないと思っとったが、
遠い遠い、とおおおおーい、親戚が見つかって庄屋さんに会いにござった。
何しろ、大金持ち 。
ちょうど運悪くそこに「りゅう」がおった。
「あら、まあ、なんて御立派なニャンコ!」 と、言ったかどうか。
人語を解するりゅうの前で、あんまり賢くない親戚夫婦は「私達、動物が好きだから、この猫連れて行こうかしら」
と、言ったげな。
愚かなり‼
この夫婦の家が横浜である事は、りゅうは知っておる。
何しろ、横浜横浜横浜…と連発しとったでな。
横浜がここからは遥かに遠い事も、りゅうは知っておる。
何しろ、毎日日本地図を頭に敷いて昼寝をしとるでな。
暇に任せてパラパラめくって勉学に励んでいたとしても私は驚かん。
りゅうだでな。
と、そういう訳で、その日からりゅう行方知れずとなってまった。
5年間、一日もかかさず我が家で腹を満たし、惰眠を貪っとった、りゅうが。
庄屋さんも「猫、来とるだら?」と
私にせまる。
(庄屋さんは、りゅうを猫と呼ぶ)
さすがに心配になり、近所をまわって
聞き込みをするが、情報は無し。
庄屋さんの親戚夫婦が両隣りの町に渡って保健所と警察に届け出をしたが、
その後の情報も無し。
この頃は日も落ちるのが早く、すぐ暗くなるので、仕事を一時間早く終えて帰らせてもらい、竹林や森の中や空き家を捜索する毎日。
地図を一つ一つチェックして農家に当たり納屋を見せてもらったり…。
一週間を過ぎて、庄屋さんの親戚夫婦も横浜に帰り、さあ!もしかしたらりゅう、出て来るか!
…出て来ん。
絶対におかしい。
帰って来られない状態にあるに違いない!
まさか?とは思ったが竹林を抜けた遥か彼方の農家に当たる事にして、
今日の二軒目、納屋に入らせてもらいました。
いました。
ドアの前に。
げぇーげぇーー、という聞き慣れない声。
でも、りゅう。
前足が血まみれ。
引き戸を開けようとしたのでしょう、
戸がささくれ立っていました。
爪が剥がれています。
どれだけここにいたのでしょう?
鳴いて鳴いて、声が涸れたのでしょう。
タクシーを呼ぶのももどかしく、お隣りの奥さんに事情を話し、車で病院へ。
脱水が激しく、点滴をして入院です。
探してよかった。
無理にでも、納屋を見せてもらってよかった。
一軒一軒、お詫びとお礼に行ってまいります。
19軒目で探し当てました。
大事な大事な私のりゅう君!
第24回リトルパウエイド譲渡会
10月14日 (月曜日 祝日)
11:00~16:00
お茶っこサロンS
瑞穂区河岸1-4-8
地下鉄名城線 妙音通り二番出口
徒歩五分