当会には全国から犬猫に関する多くのご相談が寄せられます。

先日、捕獲器に入った猫について一般の方からとんでもない通報があったので、注意喚起・啓蒙のために記事にします。

数日前にお問い合わせフォームから「捕獲器に入ったままの猫がいるがどうすればいいか」という相談を受けました。
捕獲器が屋根のない場所に野ざらしで置かれていて、中に入った猫は雨に打たれて「ずぶ濡れで寒さで震えている」とのことでした。

 

(ガタガタ震える猫ちゃん。動画も添付されていました)

現地の気温を調べると8度。時刻は夕方になる頃。
そのままでは低体温症になって命を落とす危険性があります。

しかも設置個所は道路沿いで人目に付きやすい場所でした。

 

(赤丸の位置に野ざらしで設置)

捕獲器には地元保護団体の電話番号が書いてあり、そちらに電話をかけたが繋がらなかったそうです。

そのため、当会に相談がありました。
「すぐに屋根のある場所に移動してほしい。できれば連れ帰って玄関でもいいから置いてあげてほしい」とお願いしました。

直後、発見者に当該団体から折り返し着信があり、「〇〇市まで連れて来てほしい」と言われたそうです。
調べると〇〇市は車で30分以上かかる場所で、たまたま通りかかっただけの第三者に搬送を求めるのはあまりに不躾で厚かましい距離でした。

そもそも、びしょ濡れの野良猫が入った剥き出しの捕獲器を、躊躇いなく車に積める方がどれほどいるでしょうか。
濡れ、汚れ、感染症、ノミ・ダニ、様々なリスクを考えると、とても難しいことだと思います。
しかし、この発見者は「あまりに可哀想だったから」とご自身の車に載せ、暖房を効かせて猫を温めてくださいました。

その後、当該団体にTNRを依頼した本人と連絡がつき、猫はその人の自宅に入れてもらうという形で一件落着となりました。
心優しい発見者のおかげで、猫ちゃんの尊い命が救われました。

捕獲器を設置したのが団体なのか依頼主なのかはわかりませんが、どちらにせよ非は団体にあります。
猫のために正しく安全な設置を行い、指導する立場にあるのは団体側だからです。


捕獲器設置の際には、必ず依頼主に説明し、お願いしなければならないことがあります。

【捕獲器は雨や雪で濡れないようにすること】
TNRのための捕獲なら、なおさら手術前に無駄に衰弱させるようなことは避けるべきです。
猫のことを思いやる気持ちが少しでもあれば、このような設置はあり得ません。
出来る限り軒下やウッドデッキの下などに設置し、どうしても屋根のない場所に設置する場合は、当会では毛布やビニールシートをかけたり、冬場はホッカイロを入れたりしています。
 

【捕獲器は人目に付かない場所に設置すること】
道路沿いなどに丸見えの状態で設置することは、あってはならないことです。
人目に付いてしまうと、水をかけるなどの悪戯をされたり、猫を可哀想に思って逃がす人が現れます。
善意で逃がされた猫がパニックを起こして道路に飛び出し、轢死してしまったという話は珍しくありません。
出来る限り物陰に設置するか、それが難しい場合は段ボールや毛布をかぶせて隠すのが適当です。
 

【捕獲器は出来る限りこまめに見回ること】

春秋は最低2時間に1度。夏冬は1時間に1度の確認が必要です。

対象が仔猫の場合はさらに細かく確認していただきます。

「夜に設置して朝に見に来る」という使い方は当会では許可していません。

長時間確認できない場合は撤収し、こまめに確認できる日だけ設置するようお願いしています。

この3つのお願いは、依頼主がいないレスキューにおいては当会が“当たり前に““常識として”行っていることです。

おそらく他のほとんどの保護団体も同じやり方で活動されていると思いますが、今回のようなモラルが欠けている団体も一部存在します。
捕獲でさえこのような扱いならば、保護されている猫たちが一体どのような環境に置かれているのか心配でなりません。

当該団体においては、自分の都合や効率を優先するのではなく、猫の安全と健康を第一に考えた活動をしてくださるよう切に願います。

※団体名、代表者名は把握しておりますが、名指しでの批判は差し控えます。