昨年9月に千葉の30代の男性から、好きだった祖母ちゃん(地元六日町出身)が長い間愛用していた越後上布の着物を、故郷で雪晒しをして引き継いでご自分が是非着たいと言うご相談を受けました。

しかし、その男性は身長180㎝前後の体格の方で小柄な祖母ちゃんの着物を仕立て直しして着ることは一目瞭然無理なことでした。

そこで着物ではなく羽織への仕立て直しをご提案しました。

 

 

 

昨年11月に、着物をバラバラに解きパーツごとにし、それらを再び端縫って1反の反物状態にします。後は降雪を待つばかりです。

そして去る1月30日(月)と2月1日(水)の朝から、水洗いを行った後、雪原に広げ雪晒しを開始ました。

この日は天候もよく太陽光が燦々と降り注いでいました。

まさに雪晒し日和でした。「先人の知恵と雪が育んだ織の文化」です。

今日(2/4)は立春です。雪晒しは、雪国の春を知らせる風物詩です。

 

 

 

これから天候を見ながら水洗いと雪晒しを繰り返します。

10日間程の晴晒雨読の日々が続きます。2月25日(土)は、市(社会教育課)の主催で「越後上布体験講座」が、織物会館と塩沢中学校グラウンド(雪晒し会場)で開催されます。

 

 

 

 

 

 

このように、お召しになった越後上布を織里に帰して雪晒しを施してリフレッシュした後に再び持ち主嫁ぎ先へお返しすることを「上布の里帰り」と言います。

手塩に掛けて織り上げた越後上布は、人と同じように、時々は息抜きリフレッシュが必要なのですね。

 

 

 

 

そして雪晒しが終わると仕立て屋さんの所で着物から羽織に姿を変えて再び嫁ぎ先持ち主へ帰って行きます。着物1枚1枚にはいろいろな歴史と物語が織り込まれています。

雪晒し職人の古藤さん(83歳)は、「この上布は、地元の人かね?昔晒した覚えがある。」と言っていました。

65年振りの里帰りです。