司法試験予備試験受験生のblog -8ページ目

旧司法試験 平成20年度第1問

乙の罪責について


1. 乙は殺意を持ってゴルフクラブでXの頭部を強打しているので、殺人罪(199条)の構成要件的結果の危険を有する行為といて、
殺人の実行行為の着手が認められる。
では、乙の行為とXの死の間に因果関係は認められるか。


a. 因果関係とは、構成要件該当性の問題であるところ、構成要件は社会通念に基づき当罰行為を類型化したものである。
よって、条件関係を前提に行為と結果との間に社会的相当性が認められれば因果関係も認められる。
また、行為は主観と客観の統合であるので、その判断は一般人が予見しえた事情と行為者が特に認識していた事情を基礎にすべきである。


b. 本問で、乙がXの頭部を強打しなければXは死亡しなかったことから条件関係が認められる。
ただ、ゴルフクラブは殺傷能力の高い凶器とは言えず、女性の力で叩いたところで直ちに死の結果が生じるわけではない。
そして、甲と丙がそれに気付き乙を止めてXを病院へと運んでいるが、同居の者が居れば直ちに救命行為に及ぶことは一般人にとって予見可能であるので、乙の行為とXの死の結果が社会的に相当であるとは言えない。


c. よって、乙には殺人未遂(203条199条)が成立する。


甲の罪責について


2. 甲は丙と共に重傷のXを病院へ行ったが、病院の前に放置して立ち去っている。
甲はXにとって配偶者であることから、保護義務が認められ、保護責任者遺棄(218条)の共犯(60条)が認められる。
では、甲の行為とXの死の間に因果関係は認められるか。


a. Xの傷害の程度が直ちに医師の治療を受ければ死に至らない程度なので、放置したといえども病院の前であれば救命される可能性が高い。


b. また、後の丙がXを病院の前から移動させ救命行為をさせなくすることは、甲は予見しておらず一般人にも予見不可である。


c. よって、甲には保護責任者遺棄(218条)が成立し丙と共同正犯(60条)になる。


丙の罪責について


3. 丙は、甲と共に重傷のXを病院の前に放置していることから、保護責任者遺棄(218条)の共犯(60条)が成立する。
では、後にXを病院の前から人目のつかない植え込みに移動させ失血死させていることから、殺人罪(199条)は成立しないか。


a. 甲がXを植え込みに隠したことは作為であるが、それ自体は構成要件的法益侵害の現実的危険性のある行為ではないので、重傷者を置き去りにして立ち去ったという不作為を殺人の実行行為にあたるか検討すべきである。
では、不作為が殺人の実行行為といえるか。


b. 殺人罪(199条)は作為の形で規定されているが、同条は禁止規範であると同時に「殺すな」という命令規範でもあるので、不作為も同条の実行行為にあたると解する。
ただ、不作為の者は無限に居るため、


ア 法的作為義務があり
イ 作為が可能かつ容易であり
ウ 作為との構成要件的同価値性


のある不作為のみに実行行為が認められる。


c. 本問で、丙はXの同居人であることから条理上の作為義務が認められ、植え込みから病院前に運ぶことは可能かつ用意である
また、植え込みに移動させたのは丙自身であってそこにXがそこに居ることは丙にしか知りえず、Xの死の結果を積極的に惹起したと言え、殺人の作為との同価値性も認められる。


d. よって丙には殺人罪(199条)が成立する。


e. 殺人罪と保護責任者遺棄はXの生命身体という同一法益に向けられた者なので、殺人罪(199条)が成立し保護責任者遺棄(217条)の限度で甲と共同正犯(60条)になる。


以上

でんぱ組という何か

旧司法試験 平成10年度第1問

乙の罪責について


1. 乙はAを殺害する意図で、甲からもらった睡眠薬を増量しAを殺害しているが、睡眠薬を渡す行為が殺人罪の実行行為と言えるか。


a. この点、実行行為とは構成要件的法益侵害の現実的危険を有する行為であるところ、睡眠薬でも過度に服用すれば死の結果を招くので、殺人の構成要件的法益侵害の現実的危険を有する行為といえ、乙の同行為は殺人罪の実行行為にあたる。


2. しかし、乙の与えた睡眠薬は通常は人を死に至らしめるものでないから、乙の行為とAの死の結果の因果関係が問題となる。


a. この点、因果関係は構成要件該当性の問題であるところ、構成要件は社会通念を基礎とした行為類型であることから、その有無は社会的相当性の有無で判断すべきである。
また、行為は主観と客観の統合であるから、行為と結果との因果関係は、一般人が知りえた事情と行為者が特に知っていた事情を基礎とすべきである。


b. 本問で乙は常日頃からAの身の回りの世話をしており、乙の病状について知ってたことから睡眠薬服用が死の結果をもたらすことを知っていたと推知できる。
よって、乙の行為とAの死の結果に因果関係が認められ、乙は殺人罪(199条)の罪責を負う。


甲の罪責について


1 甲はAを熟睡させるつもりで乙に睡眠薬を渡し、甲の意図を察知した乙が睡眠薬を増量してAを殺害しているが、甲に殺人教唆(61条199条)は成立するか。甲は後にAを殺害する故意はあるものの、睡眠薬を渡すことについては熟睡させるという暴行(208条)の故意しかないことから問題となる。


a. 思うに、故意責任の本質は、規範の壁に直面し反対動機が形成可能であったにも関わらずこれを乗り越えた道義的非難である。
そして、その基礎となる規範は構成要件の形で与えられていることから、構成要件の重なり合う限度で故意責任を問いうると解する。


b. 本問において、殺人も暴行もその保護法益は人の生命身体であるところ、両者は暴行の限度で重なり合ってると考える。


c. また、甲は暴行の間接正犯(60条)の意図で教唆(61条)を行っているが、正犯も教唆も同一法益に対する故意であるので、正犯の故意は教唆の故意を包含すると解する。


2. では、甲はAの死の結果についても責任を負うか。


a. 行為と結果の因果関係は、一般人が知りえた事情と行為者が特に知っていた事情を基礎として行為と結果の社会的相当性で判断するところ、甲はAを熟睡させる程度の睡眠薬しか渡しておらず、甲の行為とAの死の結果に社会的相当性を見出すことはできない。


c. よって、甲には暴行教唆(61条208条)のみが成立する。


以上

旧司法試験 平成4年度第1問

(反対説除)


乙の罪責について


1.乙がAを殺そうと日本刀で切りつけた行為は、殺人(199条)の実行行為にあたる。
しかし、実際は全治2週間程度の創傷を負わせたにすぎないところ、Aは血友病であったために死亡してる。
よって、乙の行為とAの死の間に因果関係が認められるか問題となる。


a. この点、因果関係とは構成要件該当性の問題であるところ、構成要件は社会通念を基礎とした行為類型であることから、その有無は社会的相当性で判断すべきである。
また、行為は主観と客観の統合であるから、行為と結果の因果関係の判断は、一般人が認識しえた事情と行為者が特に認識してた事情を基礎とすべきである。


b. 本問において、全治2週間の創傷から死の結果を認識することはできず、血友病についても一般人には知りえず乙も認識していたわけではないので、乙の行為とAの死の結果に因果関係を認めることはできない。


c. ただし、日本刀でAを切りつける行為は、人の死の結果の現実的危険を惹起させる行為であるから、乙には殺人未遂(203条、199条)が成立する。


甲の罪責について


2. 甲は乙にAの殺害を決意させてることから、この行為は殺人教唆(61条 199条)の構成要件に該当する。では、甲はAの死についても責任を負うか。甲の行為とAの死との因果関係の有無が問題となる。


a. この点、因果関係の有無は、一般人が認識しえた事情と行為者が特に認識し得た事情を基礎として、行為と結果に社会的相当性が認められるかで判断すべきところ、甲はAの血友病を知っていたのであるからこれを基礎事情とすべきである。
また、血友病患者が全治2週間程度の創傷を負えば死の結果に結びつくことも社会的に相当であると言える。


b. ただ、同じ結果を生じさせているのに行為者に拠って因果関係に差異があるのは不自然との見方もあるが、因果関係とは単なる事実の評価ではなく、行為者にある結果を帰責させるのが妥当かどうかという構成要件該当性の法的評価の問題なので、むしろ当然と考える。


c. よって甲には殺人教唆(61条 199条)が成立する。


以上

旧司法試験 昭和60年度第1問

(反対説除)


甲の罪責について


1. 甲がAを市街地に放置したことで結果的にAは死亡しているが、誰かに拾われることを期待してAを捨ててることから甲には殺人(199条)の故意ありとはいえない。
しかし、甲はAの母親であって保護義務(民法820条)があることから、保護責任者遺棄罪(218条)の構成要件に該当する。


2. では、甲はAの死の結果について責任を負うのか。甲の遺棄行為とAの死の間に因果関係があるのかが問題となる。


a. この点、因果関係は社会通念を基礎とした行為類型である構成要件該当性の問題であるから、その判断においては条件関係を前提に社会的相当性の有無で判断すべきである。
そして、行為は主観と客観の統合であるから、一般人が予見しえた事情と行為者が特に知っていた事情を基礎に判断すべきである。


b. 本問では、寒さの厳しい人通りの少ない歩道上に赤子を放置すれば死の結果が生じることは一般人にとって予見できることであるから、甲の行為とAの死の間には因果関係があると言える。
しかし、実際にはAは一度乙に拾われていることから甲の行為とAの死との間の因果関係は切断してはいないか。


c. 思うに、実行行為とは構成要件的結果発生の現実的危険のある行為を言うところ、行為者の生じさせた現実的危険が完全に消滅していなければ、因果関係が切断されたと判断すべきではない。
本問では、Aは乙の自動車に乗せられたのみで完全に安全な状態になったとは言えない以上、因果関係が切断されたとは判断できない。


d. よって、甲には保護責任者遺棄罪(218条)と保護責任者遺棄致死(219条)が成立し、どちらもAの身体生命という同一の保護法益に向けられたものであるので、保護責任者遺棄罪(219条)の罪責のみを負う。


乙の罪責について


1. 乙はAを事故の運転する自動車に乗せた後、誤って同車を電柱に衝突させAに重傷を負わせていることから、自動車運転過失致傷(211条2項)が成立する。


2. その後、乙はAを路上に置き去りにして、結果Aを死に至らしめていることから、客観的には保護責任者遺棄致死(219条)の構成要件にあたる。
しかし、乙はAが死んでしまったと思っていることから死体遺棄(190条)の故意しかない。
では、乙に死体遺棄の罪責を問えるか、抽象的事実の錯誤が問題となる。


a. この点、法益保護の観点から異なる構成要件にまたがる錯誤であっても、保護法益の種類、侵害の態様を基礎に、実質的に構成要件上の重なり合いが認められれば故意を認めるべきと解する。


b. 本問において、保護責任者遺棄(218条)の保護法益は被害者の生命身体という個人的なものであるのに対し、死体遺棄(190条)は国民の宗教感情という社会的なものであるので、実質的な重なり合いが認められない。
したがって、乙には死体遺棄(190条)も成立しない。


c. よって、乙には自動車運転過失致傷(211条2項)が成立する。


以上

旧司法試験 刑法 平成8年度第1問

1. 甲と乙は、共同してAに対して殴る蹴るの暴行を加え傷害を負わせていることから、傷害(204条)の共同正犯(60条)罪責を負う。


2. その後両名はAを放置し死の結果を発生させていることから殺人罪(199条)の罪責を負わないか。
殺人罪が作為の形で規定されていることから不作為もこれに該当するのか。


a まず、罪刑法定主義の観点から作為で規定されている構成要件に不作為が当たるか問題となるも、199条は「殺してはいけない」という禁止規範であると同時に「殺すな」という命令規範でもあることから、不作為もこれの構成要件にあたると解する。

しかし、単に不作為の者を処罰すると刑法の自由保障機能を果たしえないことから、構成要件に該当する実行行為として


1. 法的作為義務のあること
2. 作為が可能・容易であること
3. 作為との構成要件的同価値性のあること


のすべてを満たす行為のみが該当するとすべきである。


そして、法的作為義務は、法令、契約、事務管理、条理、慣習から判断すべきであるところ、本問において甲と乙は自ら暴行を加え傷害を負わせているので、先攻行為に基づく条理上の作為義務が生じている。
また、救急車を呼べば救命できたと考えられ、作為の可能性・容易性も認められる。

また、アパートに連れて行ってしまうと、Aを救命できるのは両名しか居なくなてしまうことから被害者を排他的支配領域下に置いたと言え、作為との構成要件的同価値性を満たす。


ただ、乙に関しては、その後Aがかわいそうになり病院に運び込んで看護士に引き渡していることから、そこに殺人罪の構成要件的同価値性を見出すことができない。
よって、甲の不作為のみが殺人罪の実行行為にあたる。


b では、甲・乙の行為とAの死の間に因果関係はあるか。
この点、因果関係とは社会通念を類型化した構成要件該当製の問題であるので、実行行為と結果発生が社会通念上相当といえる場合にのみ因果関係が認められる。
そして、行為は主観と客観の統合であるので、一般人が認識可能であるか行為者が特に認識していた事情をその判断の基礎とすべきである。


傷害の結果を負わせて放置すれば死の結果が発生することは一般人において十分認識可能であるので、甲の不作為による実行行為とAの死の結果との間には因果関係があると考える。
また、甲はAが「死亡するかもしれない」と思ったもののそこに放置することを決定してることから、Aの死を容認していたといえ、殺人の未必の故意ありと言える。
よって、甲には殺人罪(199条)が成立する。


乙には、殺人罪の実行行為がないので殺人罪は成立しないが、傷害の結果としてAの死の結果を招いているので傷害致死(205条)が成立する。


3. 甲に成立した傷害罪(204条)と殺人罪(199条)はAの生命身体という同一の法益に向けられたものなので、傷害罪は吸収され殺人罪(199条)のみが成立し傷害致死(205条)の限度で共同正犯(60条)となる
乙は、傷害致死は傷害の結果的加重犯であるのは傷害致死(205条)のみが成立し甲との間で共同正犯(60条)となる。


以上

旧司法試験 刑法 昭和48年度第2問

甲の罪責


1. まず、甲は勤務先の自動車を無断借用しているが窃盗罪(235条)は成立するか。
この点、「他人の財物」とあることから一時使用等の利益窃盗は罪に問わないのが同法の趣旨であるが、自動車は使用によって実質的な価値の目減りが観念できることから、一時使用であっても窃盗にあたる。


2. 次に、甲は自動車で通行人乙をはねて重症を負わせていることから、自動車運転過失致傷罪(211条2項)が成立する。


3. このとき、甲は乙を病院へ運ぶつもりでいったん車を止めているが、乙が死んでくれればいいと思って逃走したことについて、不作為による殺人罪(199条)または保護責任者遺棄罪(218条)は成立するか。


ア. この点、法益保護と処罰の必要性から不作為であっても一定の場合には殺人の構成要件に該当すると解釈すべきであるが、処罰の範囲が不当に拡大するのを防ぐため不作為が作為と同等の違法性を有する場合にのみ処罰の対象になると解する。そして、不作為が作為と同等の違法性を有するには


a.作為義務のある者の不作為であること
b..作為が容易であること
c.不作為に作為と構成要件的同価値性があること


が判断の対象になるべきである。
本問で甲は、自動車事故の当事者であって道路交通法上の保護義務が発生している。
そして、自動車を運転していることから救命は容易であったと考えられる。
しかし、社会規範の高い日本国内において怪我している人を誰かが見たら救助するのが常であるから、被害者乙をそこに放置したからと殺人罪と構成要件的同価値があるとは判断できない。
よって、殺人罪は不成立となる。


イ.では、保護責任者遺棄罪(218条)は成立するか。
確かに、甲には道路交通法上の保護義務が発生しているが、本罪は被害者と特別の社会関係上に入った者の不作為を特に罰する趣旨と考えることから、道交法上の保護義務は本罪の対象となる特別の社会関係上の保護義務には足りないと解する。
よって、保護責任者遺棄罪は成立しない。


4. なお、被害者乙は丙に救助され一命をとりとめていることから、客観的に死の結果が発生しておらず、甲には致死の罪責は問えない。

よって、甲には窃盗罪(235条)、自動車運転過失致傷罪(218条2項)が成立する。


以上

論文練習ルール

1. 問題と六法以外見ない

2. 30分で書ききる

山崎製パン ふわふわスフレ



1個99円也

三徳寿司