ホンの一瞬だけの恋と、この先続く勇気の話^^ | 日本トレーナー協会代表理事のブログ『もっと身体の声を聞こう♪』

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トレーナーをはじめ、運動や健康に関心がある全ての方々へ。

23時30分過ぎ。
その日の生西は池袋のプラットホームで電車を待っていた。

 

規則正しく、ほぼ同じ長さの列が出来ている。
生西は持参していた小説「舟を編む」を読んでいた。

 

 
その時、隣の列に並んでいた、陽気な外人さんが急に何かを話し出した。
オーバーに両手を挙げ、何かを訴えるその両腕には、7分袖あたりまでの立派なタトゥーが入っていた。腰で履いていたズボンはズリ落ち、ケツの割れ目が見えそうなほどになっている。


その直後、外人さんは急に身をかがめ、難しい顔をして、両手で携帯を弄る動作をした。そして警戒する猿が辺りを見渡すようにキョロキョロしはじめた。

 

 
生西は気になって、外人さんの視線に自分の視線を被せた。
なるほど。
みんな俯いて、携帯弄ったり、ゲームをしている。
全ての列の人間みんなが、俯いて両手で作業していたのだ。

 

外人さんは僕と目が合うと、肩をしゃくってまた叫んだ。
「日本人!人生楽しんでるのかい? そんなのいつでもできるでしょ?」

 

 
その声とオーバーリアクションに対しても、誰も何も反応しない。
生西と、もう1人、清楚な女性が静かに笑っていた。
生西はその女性とも目を合わせ、少しだけ笑った。
少しだけ、一瞬だけ、恋をした。

 

そして外人さんには勇気をもらった。
そういう生き方もステキだ。

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