+actmini 2013 6月号 vol21
前回の続きです。
長いインタビュー この部分は 劇団新感線 五右衛門ロックⅢの思い出を。
広斗の私たちの心をくすぐる表現にも
新九郎が舞台で見せたキラリンで魅了する経験、
活かされているんですね。
撮影 / 京介 文 / 鷲頭紀子
---色々教えてくれたっていうのは稽古場で?
「稽古場でもちょろちょろ教えてくれましたけど、本番入ってからのほうがたくさん教えてくれました」
---本番入ってから教えてくれたという
のは、具体的には?
「セリフのどこで強弱つけるかとか、あと、ここ、こうしたほうがもっと面白いよ、とか。あと完全にあるしぐさをやっての。面白々をもっと増やしたほうがいいよ、とか」
---本番入ってから、そういう細かいことを聞いて調整していったとなると、本当に日々、日々。
「……成長でした。ちゃんと教えてくれる時もあれば。あとは自分で、今言った言葉を飲みこんで考えなさいっていうような、僕のためになるような教え方もしてくれる時もあって」
---ヒントをくれるんだ?
「そう、ちゃんと考えなさいって」
---それを受け止めて、実際にやってみる訳じゃない?
それがよかったとか違うとかって答え合わせはあるの?
「答え合わせはあまりないけど、ある”面白”をやってお客さんがウケて、そういう時はホントに嬉しかったですね。それは『自分で考えなさい』つて言われていた宿題でもあったんですけど。それが出来た時に。ハケたあと古田さんのところへ行って、『古田さん、やりましたよ!』って言ったら、笑ってた(笑)」
---古田さんがヒントをくれて、春馬君がやったことでお客さんの反応があって。
「(嬉しそうに)全然、それまでと反応が違うんですよ! そこで僕的にはドッカン来るというか、凄い笑ってくれたり、拍手もらったりっていうのがあったりして、じゃあ今度は違うのをやってみようかって気持ちになっていって。古田さんも僕のためを思って言ってくれてはいるんだけど、自分も楽しんでいるところもあって」
---さあ、何をやってくれるんだいって(笑)?
「そう、そう、そう」
---古田さんは結構、毎回変えてくるんですか?
「違う時間帯もありますよ。全然アドリブの時もあります」
---それに対して春馬君がどう返すか、みたいなことも?
「それはなかったかな。僕に直接アドリブ投げかけてくるというのは、なかったです。困っちゃうんですよ(笑)。僕にまだそれだけの包容力というか、受け止められるだけの柔軟性がないから」
---劇団☆新感線の舞台をやるぞと聞いた時にこうじやないかと思い描いたことと、実際に新感線を体験した今とではイメージは変わりましたか?
「終わってからの自分がどうなるかな……とかってことは、イメージはしませんでした。もちろん凄く楽しくて、やりきって成長した自分がそこにはいてほしいなという願望はありましたけど、なんかそれ以上に本当に新感線のことを好きになった自分がそこにはいて。だからそれが想像以上でもあり、凄くいい結果でもあった」
---新感線のどういうところが好きだなと?
「作品をよくすべく、残酷なこともするんだけど……例えば出番を減らしたりだとかね」
---ああ、なるほど。
「僕の曲とかも尺が短くなったりとかしたんですよ。でも、それも嬉しいと思う時もあれば、もうちょっとやりたかったなとか、あの人のあの場面好きだったのにとか。そういう気持ちはあるけど、そういうのは全部作品にのめり込んで観てもらうために、いのうえ(ひでのり)さん始め色んな人達が練って、短くしたりだとか足したりだとかしている部分なんですよね。つていうことがかなりある劇団ではあったので、それが勉強にもなったし、それがまた楽しかった。結果的に凄くいいものになって最後終われたから、本当によかったなと」
---最初に渡された台本とは相当違っているんですか?
「相当って言われるとわからないですけど、でも、尺的には30分短くなっているんです」
---私達が観たものより更に30分あったということ?
「観られたのって東京ですよね? 観てもらった時点では、そこまで(台本より)短くなってなかったかもしれないです。どこから変わったかはハッキリ憶えてないんですけど、最終的には30分短くなっていて。とにかく毎日のようにいのうえさんが、本番始まってからも『あそこ、こうしておいて』とか『あそこ。もうちょっとこうだよ』とか芝居を変えて来るので……正直焦ります(笑)」
---焦るよ! でも、それにちゃんと対応出来ていた?
「出来てた!」
---凄い集中力だよね。
「その変わったところは、超集中してました!」
---それを新感線の人達は毎回やってるってことだもんね。
「柔軟な人達ですよね」
---自分ではわからないかもしれませんが、終わってみての自分の変化だったり、あとはこういう面があるんだなというような発見とかって何かあった?
「うーん……」
---意外と自分も柔軟じやん、とか(笑)。
「自分では言えませんけどね、柔軟とは(笑)。でも、全部上手くなった」
---自分で感じるんだ?
「うん、全部上手くなったし、意外と僕、”面白”に貪欲なんだなって」
---あはは。それはどんな時に感じました?
「お客さんから笑いをもらった時の気持ちよさだったりとか。古田さんからの宿題を違成出来た時なんかもう、最高でしたよ! ”こんな喜びがあるんだ!”と思って」
--歌やダンスがキマって盛り上がる反応もあるけど、”面白”でウケてくれるほうがより嬉しい?
「新感線の場合はそうでしたね」
結構 ”面白” に対するセンスがある?
「意外と……あるのかもしれない(笑)」