はじめに

 

こんにちは、shionです。

 

私には、何事もイメージが先行して、物事を決めつけてしまう悪い癖があります。

 

食べものは、それが顕著に表れていて、食わず嫌いなものが多いです。

 

勉強や趣味に関しても、取り組む前から「難しそう」とか「つまらなさそう」といった先入観を盾に、結局、自分の範囲内からなかなか出ようとしません。

 

「どこに どんな出会いがあるか分からないよ!!」といつも自分に言い聞かせるのですが、一歩踏み出す難しさを痛感します......。

 

まずは、苦手だと思い込んでいる野菜を克服するところから始めようと思います。

 

 

紹介文

 

 

今回は、志賀直哉の『小僧の神様』他十篇です。

 

学生時代から活字が苦手で、自分の意思で本を読めるようになってきたのは最近のこと。

 

「近代文学なんぞ自分には......」と、今でも過剰に反応してしまうのが本音です。

 

しかし、この短編集を読んで、純粋に「おもしろい!」と思える小編たちに出会ってからは、”文学”と呼ばれるものに対するイメージが少し変わったような気がします。

 

表題の『小僧の神様』や『清兵衛と瓢箪』『真鶴』などは、まるで日本昔話のようで、一言一言が、そこはかとなく懐かしい気持ちにさせてくれます。

 

多彩な内容の物語が収められていますが、個人的に最も心奪われたのは『城の崎にて』。

 

「山の手線の電車に跳飛ばされて怪我をした」という冒頭は、なかなかにインパクトがありますが、療養中に遭遇した生き物たちの生き様を、自身に重ねながら観察していく描写は思わず引き込まれます。

 

『城の崎にて』は実話に基づいており、あとがきにおいて筆者は以下のように記しています。

事実ありのままの小説で、鼠の死、蜂の死、いもりの死、皆その時数日間に実際目撃したことだった。そしてそれから受けた感じは素直にかつ正直に書けたつもりである。いわゆる心境小説というもので余裕から生れた心境ではなかった。『小僧の神様』あとがき

久々に再読しましたが、何故だか、他人事として読んではいけない気がしました。

 

著者が投げた石が偶然当たって息絶えたいもりのように、いつ何が起こるか分からない世の中を生きているからでしょうか。