はじめに

 

こんにちは、shionです。

 

自分の好きな連載漫画が打ち切りになってしまうと、残念さや無念さ、「もう続きを読むことは出来ないのか......」という絶望感など、様々な感情に打ちひしがれそうになります。

 

また、コンビニなどで、いつも買っていたお菓子が突然棚から消えていたりすると、「売れ筋じゃなかったのかな......」と、勝手に大きなショックを受けたりします。

 

「人は人、自分は自分」と割り切って、他者の目に敏感になり過ぎないことが、幸せになる近道だと、どこかで読んだことがあります。

 

まったく、その通りだと思います。そう生きれれば、と思います。

 

でも、結局、割り切れずに、自分の物差しで他者の価値観を計ったときに生じるズレのようなものに対して、過剰に反応してしまうのは、何故なのでしょうか。

 

 

紹介文

 

 

今回は、穂村弘さんの『蚊がいる』です。

 

穂村さんと言えば、短歌で有名だと思いますが、こちらはエッセイ集となります。

 

この本を読んでいると、「そうですよね!」と思わず相槌を打ってしまうことが多々あります。著者の日常が書かれているのに、あたかも自分事のように感じるのです。

 

現実社会と自分の間にある、見えそうで見えない齟齬を、自虐的に、でも大胆かつ繊細に言語化している文章を読むと、不思議と元気が湧いてきます。

 

『体調』という題目のエッセイの中で、著者は「普通の大変さの地獄」という言葉を使っています。

 

会社勤めの人を例に取れば、”普通に”電車に乗って、”普通に”出社して、”普通に”仕事をして、”普通に”残業したりします。

 

これらの”普通地獄”を、他の人たちはどう乗り越えているのか。苦しいのは自分だけなのか。そんな心の声を、私たちに代わって叫んでくれているように見えます。

 

日常の中に当たり前のように存在している”普通”に、ふと違和感を覚えたとき、本書を手に取ってみては如何でしょうか。