はじめに

 

こんにちは、shionです。

 

ここ数年でしょうか。

 

主にビジネスパーソンに向けた、芸術鑑賞に関する書籍が増えた気がします。

記憶に新しいところでは、末永幸歩さんの『13歳からのアート思考』が話題になりました。

 

美術館巡りが趣味の方も多いと思いますが、皆さんは、どのように作品を鑑賞していますか?

 

私は、恥ずかしながら、芸術分野に関しては門外漢で、美術館に行っても、

「この作品なんか好きだな」と漠然とした感想しか持てないことに、若干の自己嫌悪を抱くことも少なくありません。

 

もちろん、そういった直感的な感性は大切にしたいと思いますし、楽しみ方は個々人の自由です。

一方で、知識や経験を得ることによって視えてくる世界にも、憧憬の念を抱かずにはいられないのです。

 

 

紹介文

 

 

今回は、伊集院静さんの『美の旅人』フランス編です。(スペイン編もあります。)

 

作家である著者が、実際に現地を訪れて旅をしながら、様々な作品に出会っていきます。

 

まるで学芸員かのように、絵画の作者・作品、制作当時の時代背景などを淡々と述べる一方、著者本人が感じたことや思ったことを、自身の目線で表現されています。

 

それらは、ただの感想文ではなく、鋭い観察眼や膨大な知識に基づいた、説得力のある文章になっています。

書籍のページ末には、洋書も含めた数十冊の参考文献が記されており、念入りに調べた上で書かれた本だということが分かります。

 

絵画との向き合い方については、基本的には「絵画の鑑賞は、その絵の前に立ち、見たまま、感じたままを受け止めて、身体の内におさめればいい。よけいなものはいらない」とした上で、ある程度の予備知識が必要な場合もあるとしています。

 

例えば、ヨーロッパの絵画を鑑賞するときには、宗教や神話についての知識と理解が求められるといいます。

 

芸術に限ったことではないのかもしれませんが、自分が精通していない分野に対するハードルは高いものです。

 

まずは、直感に従って知らない世界に飛び込んでみて、そこから湧き出た興味や好奇心を知識や経験に変えられると、今までとは違った世界が視えてくるのかもしれません。