はじめに
こんにちは。shionと申します。
私は、世にいう読書家ではなく、読んできた本は少ないと思います。
それでも、好きだと言える本たちに出会えたのは、文字通り、有り難いことです。
これから先、自己満足は承知の上で、自分が好きな本について、ポツポツと語っていこうと思います。
そして、あわよくば、声も顔も知らない誰かの、新たな本と出会う機会になれば幸いです。
紹介文
今回は、川上弘美さんの『此処彼処』です。
日本経済新聞に連載されたエッセイが収録されており、「場所」を題材にした文章が並んでいます。
「浅草」「神保町」「小豆島」「ボストン」「マダガスカル」......
川上さんが、今まで訪れた場所の記憶を思い返しながら、そのとき感じたことや思っていたことなどを、優しい文体を通して、私たちに語りかけてくれます。
私は、社会人になって最初の年に、関西で働くことになったのですが、生まれも育ちも関東だったため、言葉や文化に戸惑い、悩み込んでしまったことがあります。
「此処は自分の居場所じゃない」という傲慢極まりない考え方でしか、世の中と向き合えなかったのです。
そんなとき、この本を読んで、穏やか気持ちになったことを覚えています。
『此処彼処』だけでなく、川上さんが書くエッセイたちは、みんな優しい気持ちにしてくれるので、「心に余裕がなくなっているな」と感じたら、ふと手に取ることが多いです。
川上さんの短編小説も好きなので、またご紹介出来ればと思います。