《翌日 at ミーシャの町内の教会》
5/14 (土)
午前の部 中高年の町内会の人たち
午後の部 アンナの友人達
夕刻 R 取材を終えて
アンナの友人達を見送る
R パンツスーツ Ⅴネックのインナーに
ティファニーのネックレス
R: 今日はどうもありがとう
友人1: お姉さんの記事が
新聞に載ったら送ってね
友人2: ドイツ語の辞書を見ながら読むから
R: ボツになったらごめんね
友人3: その時は原稿を送って下さい
R: OK!
友人達帰る
R: ああ 楽しかった!
An: お姉さん
R: あら、アンナちゃん
An: ママがハチャブリをごちそうしたいから
家に寄って下さいって
R: ハチャブリってグルジア風チーズパイ?
An: ええ そうよ
R: わあ! 楽しみ!
《outside》
Rとアンナ 教会を出る
近くにスーツ姿の若い男が待機
R: (対外情報部の
私服のボディーガードか..
ノヴォテヴィッチ修道院の時とは違う人..)
教会から司祭が出て来る
司: アンナ、子猫の写真を撮らなくては
An: あ、そうだった
お姉さん ちょっとここで待っててね
子猫の写真を撮ってくるから
R: 子猫?
司: 礼拝堂で猫が子どもを産んで
6匹も.. 里親探しです
An: ママにも頼むのよ
司祭とアンナ 教会へ戻る
ボディーガードも教会へ
R アンナを待つ
R: (..ちょっと遅い これ.. まずいかも!)
R 教会へ走る
教会の扉を開けながら
R: (あのボディーガードはどこ?)
辺りを見回しながら静かに教会に入る
R: (銃も吹矢も置いてきてしまった
アンナちゃん、何処⁉)
R 礼拝堂へ急ぐ
と、突然後ろから腕を取られ、
鼻と口を布でふさがれる
R: (ワッ! 何これ クロロホルム...?)
R 抵抗する
R: (あ.. だめ 力が抜けてく..
ちゃんと麻酔用のヤツ..
使ってるわ.. よ.. ね)
バタン!
《夜 at 対外情報部》
少佐 白くま 白くまの部下達
少: ボディーガードは何をしていたんだ⁉
白: 自分の車の中で手足を縛られていた
少: ミーシャは?
白: 自宅にいる
奥さんの側にいるように私が言った
アンナと君の部下を拉致したのが
アリョーシャなら
少なくともアンナには危害を
加えんはずだ
少: どういうことだ?
きちんと説明してもらおう
白: うむ..
実はミーシャの奥さんと
アリョーシャの
亡くなった母親は友人同士で
少: ・・・
白: 父親の方は早くに亡くなっていたから、
彼が足を故障してバレエを断念した時
ミーシャの口利きで
対外情報部に入った
少: ほう..
白: ミーシャは何かと
目をかけていたのだが
5年前、母親の手術代欲しさに
新興財閥に雇われた
少: ミーシャの性格では許せんかったろうな
白: 目をかけていた分、
落胆も大きかったはずだが
ミーシャは何も言わん
アンナが小さかった時は妹のように
可愛がっていたのだが..
何故.. アンナを...
少: まさかアリョーシャのことを
調べてないんじゃないだろうなっ!
白: 私はそこまで怠慢ではない!
アリョーシャはここひと月の間に
三回ウクライナに行って
少: ウクライナだとっ⁉
白: 一度ドイツに行っている
少: シュトゥットガルトか?
白: フランクフルトからの
入国だから可能性は高い
少: アリョーシャを雇っている新興財閥は
体制派か 反体制派か⁉
そいつとウクライナのテレビ局を
買収したヤツとの関係は⁉
白: 部下を拉致されて気持ちは分かるが、
ここはロシアだ
捜索は我々に任せてもらおう
少: 冗談じゃない‼
アリョーシャの狙いは
ミーシャの娘じゃない
おれの部下のRなんだ‼
《at 民家のような所》
R 民家の寝室らしき部屋で
うつ伏せに倒れている
両手 後ろで手錠
足 ロープで縛られている
R: (...暗い ...私を呼んでる?
ゾフィー? ..私 ゾフィーじゃない)
An: お姉さん! ゾフィーお姉さん!
R:(はっ!)
An: よかった、お姉さん 気がついて
R: アンナちゃん
アンナ 右手に手錠
手錠の片方がベッドのパイプに
繋がれている
R: アンナちゃん、ケガは?
怖かったでしょ?
An: うん
でも乱暴はしなかったわ あの人達
R: あの人達.. 何人いたの?
An: 二人よ 司祭さまとスーツを着た人
礼拝堂で猫の写真を撮って外に出たら、
お姉さんが車に乗せられる
ところを見たの
そしたら司祭さまが
「仕方ない この子も連れて行く」って
R: アンナちゃん、ごめんね 私のために
(でも何故.. 私?)
An: お姉さん...
R アンナの側に転がっていく
高窓から月の光が差し込んでいる
R: 月が出ているのね
カシオペアが見える
高窓からの月の光が次第に翳り始め
部屋が暗くなる
アンナ Rに抱きつく
An: どうして私たちを誘拐したのかしら
R: ウーン... 分かんないなあ
きっと何かの間違いよ
An: パパやママ 今頃心配してるわ..
きっと グスッ!
R: 大丈夫よ アンナちゃん
警察の人達が一生懸命
探してくれているわ
(そう ロシア対外情報部が総力をあげて
捜しているはず
そして.. 鉄のクラウスも)
《日付が変わった翌日
深夜 outside》 5/15(日)
少佐 対外情報部を出て、
モスクワの街を歩く
少: ミーシャの家族と
アリョーシャの関係が
白くまの説明通りなら..
戦勝記念日の前日
アリョーシャがミーシャの娘を
尾行したのは
成長したアンナを偶然見かけて
“跡をつけただけ” ということか?
Rが拾ったのは猫だけではなかったか
少佐の携帯ブルル
少佐 立ち止まり
少: おれだ ...分かった
深夜便に搭乗できるのか
モスクワ着は午前だな
...Bと二人か いいだろう
今、ホテルに戻るところだが
ウム ...そうだ
対外情報部はおれを関わらせない腹だ
....想定内? ...フン!
携帯 ピッ!
[電話の相手は部下Aです]
少佐 再び歩き出す
少: 対外情報部からの連絡待ちとはな..
くそっ!
...ポロニウム210か まさか Rに
いや 例えアリョーシャが210poを
所持していても.. それはないだろう
考え過ぎだ だが、
少佐 歩みを止め、空を見上げる
星ひとつない暗い夜空
少: アリョーシャ Rに...
Rに指一本でも触れてみろ
ただではおかない
To be continued