【 in MockBa 】
《at NATO支部 部長室》
部: 今度の出張は長くなりそうだな 少佐
Gは置いていってほしいが
少: 仕事に個人的な感情は持ち込んで
いただきたくありませんな 部長
部: 私も年だからさびしいんだよ
少: 同情をかうような発言も
控えていただきます
さびしいのならRを置いていきます
部: Rはいらん 持って行ってくれ
少: フン 何かというと二人でつるむくせに
部: Rとはそこそこ気が合うんだが、
あれはちと、うるさい
女房か姑といるような気になる
少: フム 確かに
部: あれは亭主を尻にしくぞ
気をつけた方がいいな 少佐
少: なんでおれが
気をつけなきゃならんのです!
部: ま、まあ いろいろと..
深い意味はないのだが
少: 深い意味のないことは言わんで下さい
頭が痛くなる!
それでなくとも今回の任務は...
部: ・・・
部長 笑いをこらえている
少: 楽しんどりますな 部長
部: そんなことはない オホン!
ところで、シュトゥットガルトの
病院の事件は知っているな
少: 病室に不審な男が侵入した事件ですか
部: 看護師が気づいて男は逃走したのだが
その病室の患者はウクライナの
情報機関の人間だった
少: ウクライナの情報機関..
部: 看護師は男が患者を脅していたと
証言しているのだが、
内容は不明
少: ドイツ語ではなかった
部: フム そのようだ
その後患者のシーツに数滴だが
液体が確認され
警察が分析させている
少: 情報局員は?
部: 容体に変化はなかったので
ウクライナ当局が
翌日 身柄を移送した
少: 重症の人間を移送..
侵入した男は何者ですか
部: それが分からん
一応君の耳に入れた方がいいと
思ったのだが
患者は不時着に失敗した双発機の
搭乗者だが
胸の傷は銃創だったそうだ
少: 確かパイロットの方は..
部: 死んだ
病院に搬送された時は
生きていたそうだが
少: パイロットが発砲したと考えて
いいでしょうな
パイロットの身元は?
部: 国籍不明 身分証明書も偽造だった
少: 事故機の所有者は?
部: 民間の会社らしいんだが、今調査中だ
《数日後 at メトロポールホテル
in MOSCOW》
会議室から Aが出て来る
B: どうだ?
A: もうすぐ終わる
B: こっちの懸念はきちんと伝わっているか?
A: さすが少佐だ 言えないことがない
NATOのAWACS (空中警戒管制機) を
モスクワ上空で飛ばしかねない
B: ミーシャは?
A: 今のところ反論はしてないけど
B: 各国の首脳が集まるんだ
万全の上にも万全を期さないと キリッ!
D: Bが言うと、何か変だな
A: 市民を締め出してのセレモニーだから、
ある意味警備は楽だけど
D: あ.. 終わった
《at 正面入口付近》
ZとR 待機
R: ねぇ さっきクレムリンの近くを通ったら
ロシア兵がいたけど、
物乞いはしなかったわよ
Z: それはドイツ人である我々には
しないでしょう
R: ドイツ人はケチだと思ってるんだ
Z: いえ、そうではなく
今回は戦勝記念式典ですから
戦勝国としてのプライドが..
R: きっと日本人にはするわよ
Z: そういえば
フランクフルター・アルゲマイネ
の記者は
自分たちより日本人の記者に
声をかける、と言ってましたが...
(やっぱり先輩が正しいんだろうか?)
[ 注)ソビエト崩壊後のロシア経済は
混乱を極め、最悪の状態
兵士は薄給が続いていた]
ミーシャ 部下を数人連れ
ホテルから出て来る
ミ: そこにいるのは鉄のクラウスのところの..
Zだな
Z: お久しぶりです
ミ: で、隣の女性が噂には聞いたが、
新しい部下の
R: Rです 初めまして
お会い出来て光栄です ミーシャ氏
ミ: 何ともきゃしゃで
ほっこりとしたお嬢さんだ
あの人使いの荒い上司に
ついて行けてるのかね?
《at 会議室》
ミーシャ ホテルの会議室に戻って来る
ミ: エーベルバッハ少佐!
君はこの頃はのびのびと部下を
育てることにしたのかね⁉
少: おれの部下がどうかしたのか?
ミ: 口のきき方くらいきちんとしつけたまえ
小娘を甘やかしてはならん‼
少: 小娘? Rのことか?
あれは結構トシなんだぞ
ミ: フン! とにかく、女だと思って
手抜きをしてはいかん!
ミーシャ 怒りながら帰る
少: 何をミーシャに言ったんだ あいつ
部下A! Rを呼べ
A: はっ!
少: いや、待て
今日Rとペアを組んでいたのは..
Zを呼べ!
Zが来る
Z: 少佐 お呼びですか
少: 今、Rのことでミーシャに
文句を言われたが
Rはミーシャに何を言ったんだ?
Z: そのことはぼくが厳重に
注意しておきました
少: お前が厳重に? 何なんだ?
Z: ですが、R先輩は..
普通の会話のつもりだったようです
少: Z 判断するのはおれだ
かばい立てはしなくてよろしい
Z: はい
少: で、何を言ったというんだ?
Z: あの..
ミーシャに髪の毛の色を尋ねたんです
少: な... ミーシャに...
髪の毛の色を..聞いた.....
何だ そりゃ ―――― !
何でそんなことを聞いたんだッ!
Z: 分かりません
そこが先輩の不可解なところで
少: おれだってそんなこと
聞けんぞ ―――― !!
(ミーシャに髪の毛なんぞ、
思ってもみなかった...)
Z: ただその後がちょっとまずかったんです
〖R: 奥様がライトブラウンで
お嬢さんはブルネットですね
ミ: それがどうかしたのかね?
R: お嬢さんて、あんなに美人で
本当にミーシャ氏の娘さんですか?
奥様の連れ子だったりして 〗
少: ...と、言ったのか ―――― ⁉
Z: はい
少: 何てこと言ったんだ 不敬罪ものだぞ
この忙しい時に
また小言を言わなきゃならんのか!
Rを呼んでこい!
少佐 Rにお説教をしている
ガミガミ、ガミ クド クド.....
A: 機関銃か連続砲車砲並みだ
あれじゃRの耳には何も
入ってないと思うけど
少: いいか 分かったか R!
明日からお前は屋外待機組にまわす
R: (あんまり わあわあ わめかれて
頭.. 真っ白 とりあえず)
分かりました (はあ.. )
少: ところでお前..
何でミーシャの家族のことを
知ってるんだ?
R: それは少佐殿が出張前に
きちんと下調べをしておけと
おっしゃったからです
情報部の資料にミーシャ氏の
家族の画像がありました
少: フム
To be continued