今年の冬は御岳によく通った。2月に3回、3月に1回、計4回。

自宅から日帰りで気軽に通えるのだが、個人的には去年まではあまり寄り付かない岩場であった。御岳にはどちらかというとネガティブな印象があったためである。

今年になって頻繁に通うようになって、ようやく御岳の魅力がわかってきた気がする。一方で、もともと感じていたネガティブな要素が完全に払拭されたわけではない。

なんとなく、御岳という岩場について感じることを整理してみた。あくまで私個人の主観ということでご理解ください。


◼️御岳の良いところ
①都内からのアクセスがよい
東京在住であれば、メジャーな岩場としては御岳が最寄りになるだろう。

都心から車で一時間半くらい。高速代は片道1500円くらいか。

最大の魅力は電車でも通えるところだろう。新宿駅からホリデー快速おくたまに乗れば1時間15分くらいで着く。電車でマット持っていくのはきつくない?とお考えの方は心配ご無用だ。同じ車内にはマットを積んだ猛者どもがウヨウヨしていることだろう。それでも新宿駅までマット持っていくのはちょっと…、と抵抗ある方に朗報。なんと御嶽駅近くのマウンガというお店でマットをレンタルすることができる。至れり尽くせりである。

そういった条件下から、外岩初心者にも通いやすい岩場だと言える。かくいう私も外岩デビュー初期の頃は電車で行って現地でマットをレンタルしたものだ。車を購入してからはそのメリットを享受することはなくなったが。


②名作と呼ばれる課題が豊富である
熱くなれる課題の一つや二つ、どこの岩場にもあるのだが、知名度の高い課題の多さでは御岳が国内最強ではなかろうか。

なんといっても忍者返しデッドエンドという、三大クラシック課題のうち2つが御岳にある。特に忍者返しは日本のクライマーに最も憧れられてきた1級課題だろう。(それだけに2018年12月のチッピング被害によって賛否を呼ぶ課題になってしまったのが残念でならない)

初段以上の課題の知名度も全国区。エゴイスト は初段の登龍門的存在だし、といった猛者達の人生を狂わせる上級課題も豊富。いずれも雑誌等でも名課題として頻繁に取り上げられる課題だ。


(チッピングの影響を受けた忍者返し、虫、蟹の三課題は事件以降あまり登られてないのだろうか。久々に忍者返しの岩を訪れた際には休日でも閑散としていた。写真は最近人気のすのぼり初段)


③ロケーションがよい
キレイな河原で気持ちが良いです。日当たりがよく、冬でもポカポカ陽気です。(逆に冬以外だと暑い)

一般の観光客もいっぱいいます。マットを背負ったクライマー達を見て、なんだこいつらと思っていることでしょう。

そんな一般客が、岩に張り付いているボルダラーを遠目で見てこんな発言をしているのを聞いてしまいました。

知ってるー?あれ、ロッククライミングの練習してるんだってー」
「あー、だからあんな低い岩登ってるんだ!練習ってマット敷いてやるんだね」

なるほど、一般人から見るとボルダリング はロッククライミング(おそらくリードをイメージされているのだろう)の練習に見えるわけか。もちろんそれは誤解なわけだが、できない課題に挑み続けるのは練習と言えないこともないわけで、一概に間違いではないなーなんて思ったり。

まぁそんなわけで、思わずピクニックがしたくなるくらい居心地の良いロケーションということですね。




では次に御岳のネガティブな要素について見ていきましょう。

◼️御岳の悪いところ
①課題が点在し過ぎている
名作が多いのはよいのだが、岩と岩の距離が結構あるんですよね。エゴイストからデッドエンドまで徒歩だと30分くらいですかね?それくらい歩けよと突っ込まれそうですが、やはり億劫なのと、時間が勿体なく感じてしまいますね。

これに関しては車で行くようになってからは、ある程度不満は解消しました。エゴイストのあるロッキーボルダー 、忍者岩周辺、デッドエンドのある発電所エリア、それぞれ駐車場があるので便利です。

でもやっぱりいろんな課題が密集していた方が楽しいと思うんですよね。御岳に行く場合には、いろんな課題を触って楽しむよりは、一つの課題に長時間向き合うスタイルの方がよいかもしれません。


②チャートという岩質
つるつるすべすべなチャート。これに関しては、好き嫌いは人それぞれですが、チャートが苦手な人って結構多いのでは。

例えば友人のF氏はとてもチャートを毛嫌いしていますね。花崗岩が恋しくてたまらないそう。

ちなみに個人的にはそんな嫌いな岩質ではなかったり。水際カンテのようにペシペシ叩いていく課題がやりやすい。(逆に花崗岩だと苦行ですよね)

とはいえ、ヌメったりしてた場合には絶望を感じる岩質ですね。先週打った飛雄馬とかはなかなか辛かった。いずれにせよ、万人受けする岩質でないことは間違いないでしょう。


人が多すぎる
ていうかぶっちゃけ私を御岳から遠ざけてきた最大の理由はこれである。

都内からのアクセスの良さと課題の有名さの相乗効果で、休日は岩の前がごった返しになるのである。特に忍者岩、デッドエンドの岩、ロッキーボルダーは新型コロナの集団感染が懸念されるレベルの大渋滞である。

例えばエゴイストを落としたい!と思っても、自分のペースでトライを重ねるのは難しく、集中力が維持できないのである。結果、豆腐のような柔いメンタルの私は、もういいやとなってしまう。

平日の空いてる時に行けたらいいななんて思いつつ、それだとマットが足りなくて多くの課題のトライに支障をきたすというジレンマ。


(2015年に忍者岩返しをトライした際の写真。腰が入ってないねえ。懐かしさと、今の機種をかれこれ5年使っているという事実とに驚愕。)


(デッドエンドも大渋滞)


さて、こうしたネガティブ要素があるにも関わらず今年に入ってなぜ急に御岳に頻繁に通うようになったのか、考えてみた。

理由の一つは、天候の関係で御岳しか選択肢に入らなかったこと。豊田に行ったりしたいのに、週末に西日本の天気が悪くなりがちだった。

二つ目の理由は、魅惑の丸こんにゃく水際カンテなどのあまり人気のない課題を攻めたことで、岩の渋滞を避けることができたこと。いずれも毎回貸し切り状態でした。どちらも名作なのに、みんなどうかしてるぜ。

そして最後の理由は、エゴイストに熱くなったこと。たまたまエゴイストが運良くガラガラだった日に集中的にトライを重ね、見事に嵌って敗退し、落とさざるを得ない状況に陥り、そして通ったのである。

◼️今後御岳にどう向き合うべきなのか
改めて振り返ると、最近御岳に通うようになったのはたまたまが重なっただけなのであった。しかし、通うことによって気づけたこと、それは純粋な岩場としての御岳の魅力である。

名作課題の質の良さはもちろん、裏御岳を含めればかなり課題数は豊富。田中君ミジララテスタなどの隠れた名課題に出会うこともできた。意外と奥深いじゃないか、御岳さん。

今後トライしたい課題もたくさんある。ネクロフォビア遥エゴイスト3Gなど。いずれも時間を要しそうだ。

春シーズン以降は小川山方面に行くことが増えるため、御岳は下手したら次の冬シーズンくらいまでお預けにはなる。でも、また冬は高頻度で来るんだろうな。やっぱり近くて楽だし。そして今後は一つの課題にじっくり取り組み、少しずつバラしていく、みたいな取り組み方になるのだろう。辛いが、それもまたクライミングの楽しみ方の一つよね。

◼️あくまでも主観的な総合評価
うーん、3点で!(5点満点)

これを基準に、他の岩場も偉そうに評価していくと面白そうだ。

◼️おまけのご飯情報
最近はもっぱら八王子の24時間営業の中華料理店に夢中。店の名前は覚えていない。五品くらいオーダーしたとして、5分後くらいには全てのメニューが提供されるという驚愕な調理スピードが特徴。味は悪くない。十分美味しい。(当然揚げ物などはレンちん感丸出しの味なので要注意)

他にも美味しいお店は周囲にたくさんあるのでしょうけどね。探そうとする努力はしていない。御岳で登っていると、15時くらいからは晩飯の中華で何をオーダーしようか考え始めてしまう今日この頃です。