華々しいプレーを見せるエースたちの影に隠れながらも、守備やハードワークを通じてチームに貢献する選手たちがいます。「ブルーワーカー」と呼ばれる仕事人たちは主に80年代、90年代のNBAをパワーフォワードというポジションで支えました。得点力のあるエースたちを補完し、チームにポジティブな影響を与える選手たちは、時には見過ごされがちながらも必要不可欠な仕事をこなします。今回はNBAでブルーワーカーでありながらも、オールスターにまで出場した選手たちを4人紹介します。

 

 

チャールズ・オークリー/Charles Oakley

206cm/102kg
1993-94シーズンにAS出場/ニックス
11.8pts、11.8trb、2.7ast、1.3stl、FG48%

 

19年の長いキャリアの中で、10年をニックスでプレーしたチームのハート&ソウルと呼ばれたオークリー。エースのパトリック・ユーイングの用心棒のような佇まいはまさに、ブルーワーカーを代表する存在でした。

 

このシーズンのニックスは57勝を記録し、プレーオフファイナルにも出場した、まさにチームの最盛期だったのです。オールスターにはユーイングはもちろん、オークリーとジョン・スタークスの3人が選ばれる快挙でした。プレーオフではどのシリーズも激戦となりました。セミファイナルで対決したブルズとの第7戦は17得点、20リバウンドを記録し、ユーイング以上の活躍を見せ勝利に貢献したのでした。

 

 

 

 

ホーレス・グラント/Horace Grant

208cm/97kg
1993-94シーズンにAS出場/ブルズ
15.1pts、11.0trb、3.4ast、FG52%

 

前途のオークリーの控えとしてブルズにドラフト指名されたグラント。オークリーが去った後のパワーフォワードを務め、ブルズの3連覇に貢献しました。近視のために着用し始めたゴーグルがトレードマーク。双子の弟、ハーベイ・グラントもNBA選手でした。

 

このシーズンはジョーダンが野球によって1度目の引退となった年。12月15日、セルティックス戦ではキャリアハイとなる31得点に加えて、15リバウンドを記録し、勝利しました。ジョーダン不在でも強豪だったのはピッペンの相棒、グラントの活躍も大きかったことでしょう。

 

 

 

 

デイル・デイビス/Dale Davis

211cm/104kg
1999-00シーズンにAS出場/ペイサーズ
10.0pts、9.9trb、1.3blk、FG50%

 

ペイサーズに1巡目13位で指名されたデイビスは2年目から不動のスターティング・パワーフォワードとして活躍しました。彼がオールスターに出場したのは1度ですが、それは30歳の時でした。ベテランとなって初めての出場は、彼がこれまで行ってきた献身的なプレーが評価されたという証拠にもなりました。

 

このシーズン、ペイサーズはプレーオフ・ファイナルに出場しました。試合をいくつか見ていましたが、デイビスは無骨そうな雰囲気満載なのですが、かなりのテクニックを持っていることがすぐに分かりました。意外とというと失礼ではありますが、ミドルシュートも上手なんですよね。

 

 

 

 

ラシード・ウォーレス/Rasheed Wallace

211cm/102kg
2005-06シーズンにAS出場/ピストンズ
15.1pts、6.8trb、2.3ast、1.6blk、3P36%(1.9本成功)

 

ウォーレスを知る方からは彼はブルーワーカーか!?と言われそうな気もしますが今回はこの枠で紹介したいと思います。ブレイザーズ時代はチームのエースとして2度オールスターに出場。ピストンズでは3番手の得点源として優勝に貢献しました。ピストンズ時代のウォーレスはエースではありませんでしたが、リバウンドはインサイドのディフェンス、ノーマークのスキをついてスリーポイント。重要な場面で決めてくれる必殺のポストプレーと、多様な働きを見せてくれました。ピストンズ時代のウォーレスはチームの流れに合わせて、その都度必要とされる仕事をこなしており、2000年代のブルーワーカーとして完成されたスタイルのように思えました。(テクニカルファールが多いことはご愛敬・・・。)

 

彼について、恐らくアメリカ人の熱狂的なファンが昔に書いた『ウォーレスを愛すべき100の理由』というブログを発見。面白かったです。「マクドナルド・オール・アメリカン・ゲームから追放された・・・寝坊して飛行機に乗り遅れたが、さらに次の便にも乗り遅れた・・・などなど」。気になる方は『Elevatorman Rasheed Wallace』で検索をどうぞ。

 

 

 

 

 

最後にオールスターに出場できなかった、高レベルなブルーワーカーを1名紹介したいと思います。

 

 

 

PJ.ブラウン/P.J. Brown

211cm/102kg
2000-01シーズン/ホーネッツ
8.5pts、9.3trb、1.6ast、1.2blk、FT85%

 

本名はコリアー・ブラウン。ピーナッツバター&ジャムの略でPJと名付けたそうです。ディフェンスとミドルシュートが得意でスクリーンプレイもしっかりと行う、強豪チームに必要とされるビッグマンです。ディフェンシブチームには4度選出されています。2年連続でスポーツマンシップ賞も受賞した、ジェントルマンだったようです。