少し前になるが、テレビで「ねぶた祭り」のねぶたを製作する女性の特集を見た。
父親がねぶたを製作する姿に感動して、自分もねぶたを作ってみたいと思ったらしい。
彼女の決意は生半可なものではなく、ねぶた製作者としての父親の意思をどうしても継ぎたいというものだった。
しかし、厳格な決まりがあるわけではないようだが、ねぶたの製作は女人禁制なのだそうだ。
彼女の父親は、教えを請う娘に一切、指導しなかった。
娘は、ねぶた製作現場に行っても、ただ見ているだけだった。
それでも、彼女は全く教えてくれない父親の作業場に、3年間通いつめた。
見学から得た情報をノートに整理し、なんとなく体系がつかめるようになっていた。
そして、自分でもねぶたを製作してみたのである。
父親の弟子より光る才能を見せ始めた娘に、ようやく父親もアドバイスするようになる。
昨年度、彼女のねぶたは優秀賞に選ばれた。
インタビューに答える彼女が言った。
「振り返ると色んな困難を乗り越えてきたけれど、好きなことを無我夢中でやっているときには、困難とは感じなかった。」
これぞ、「至言」である。