私は、以前読んだ次の本を、最近読み返した。
- プロフェッショナルマネジャー/プレジデント社
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ここで、また新たな発見があった。
著者は次のように述べている。
『マネジメントは「本当の事実」をそれ以外のものから「嗅ぎ分ける」能力と、さらには現在自分の手元にあるものが、「揺るがすことが出来ない事実」であることのひたむきさと、知的好奇心と、根性と、必要な無作法さも備えていることを要求する。』
著者によると、いわゆる「事実」とは次の6っつに分類される。
① 表面的な事実(一見事実と見える事柄)
② 仮定的事実(事実と見なされていること)
③ 報告された事実(事実として報告されたこと)
④ 希望的事実(願わくば事実であってほしい事柄)
⑤ 受容事実(事実のレッテルを貼られ、事実として受け入れられた事実)
⑥ 本当の事実
この中で、⑥本当の事実、だけが、マネージャーが拘らなければならない「事実」であると著者は説く。
これは、奥の深い指摘であり、マネージャーの仕事の本質を突く一文であるとおもう。
自分自身を反省すると、①表面的な事実、③報告された事実、や④希望的事実、のチェックは出来ていると思うが、②仮定的な事実、⑤受容事実、に対しての真偽の掘り下げまでして来なかったと思う。
日々の仕事に具体的にあてはめてみよう。
例えば、「受注確定」という「事実」があったとすると、以下のようになろう。
①「表面的な事実」とは、受注確定の噂が客先の担当者の間で広まるレベル
②「仮定的な事実」とは、受注確認したところ、客先の担当者から「もう御社に受注決定していると」言われるレベル
③「報告された事実」とは、メンバーから受注確実だと報告があるレベル
④「希望的事実」とは、受注決定してほしいと思うあまり、受注が前提で様々な話が進んでいるレベル
⑤「受容事実」とは、客先も当社も受注決定と確信しているレベル
⑥「本当の事実」とは、契約書を交わすとか、実際に注文が入るレベル
業界にもよると思うが、通常、契約書を別段取り交わすことが無い顧客が継続・当用買いするようなケースでは、客先の担当者から、「受注決定」という連絡を受ければ、受注確定として処理してしまっている。
殆どのケースでは、その後の変更は有り得ないが、顧客の不興を買わない程度で、確認印をもらうなどの予防策が必要だと気づかされた。