熊本にあるマリーナで、大型クルーザーがエンジンの不調により陸上で整備されていた。
この船のオーナーは、整備が終了したと判断し、クレーンを自分で操作して、船を下ろした。
エンジンも軽快な音を立てるため、完全に直ったと喜び、そのまま、長崎まで運転した。
長崎で用事を済ませたオーナーは、熊本に帰ろうと、船を係留していた場所に戻った。
すると、そこには船は無かった。
係留していたロープが残っていたので、引いてみると重い。
船が沈んでいたのである。
後で分ったのだが、パッキンがどれも閉じられていなかったとの事だった。
船とは不思議なもので、パッキン全開でも、高速で運転している最中には水はあまり入ってこない。
しかし、一旦止めると急激に水が入ってくるのだそうだ。
そのことを知らなかったオーナーは、長崎での係留中に誰かがパッキンを外したと主張していたという。
現物が、熊本のマリーナに置いてあることを確認した後は、主張を取り下げ、後悔することに専念したと
か。。
このケースでは、オーナーの確認というプロセスに抜けがあったことが、失敗の最大の原因であるが、専門知識も、危険予知には、必要だということをも教えてくれる。