「もうかりまっか?」
「ぼちぼちでんなあ。」
大阪商人の間で有名な挨拶である。
「ぼちぼちでんなあ。」ということは、「少しはもうかってまっせ。」と言っていることと同じだ。
しかし、なぜ、「いやいや、もうかりまへん。」という返事をしないのだろうか?
私は、最近、この「ぼちぼちでんなあ。」という返しは、「あきんど」として非常に優れた返事であると気づいた。
江戸時代の大阪商人は、松前船などを運航して蝦夷から九州に及ぶ広範囲の規模の大きな商売をしていた。
当然、商人同士で資金の貸し借りもしていたことだろう。
そんな中で、「儲かっていない」と、発言してしまうと、どうなるだろう。
儲かっていないという噂が広まり、次の商機が訪れたときに、資金を貸してくれる人がいなくなるかもしれない。
だから、「少しは、儲かっている。」という返事をしたのだろう。
これと同じことが、現代社会でも言えるだろうか?
会計情報などの情報公開の進んだ現代社会では、一様に考えることは、適切ではないかもしれない。
しかし、あまりにも謙遜しすぎて、与信に不安をもたれるようでは、ビジネスマンとして失格である。
謙遜する場合でも、儲かっているように自身たっぷりに言うなどの、工夫が必要なのかもしれない。
やはり、現代社会でも「ぼちぼちですね。」と返事しておけば、スマートに対応できると言うことだろう。