Q18. 福岡県の糸島半島には、天孫降臨を示唆する「天降神社」や祠が多く(十数か所?)あり、天孫はここに降臨した?
天照大神の孫であるニニギ尊は、天から「日向の国(宮崎県)の高千穂峰」に降臨したはず。
少し考えてみよう。
神社でお払いを受けるとき、神主は祓詞(はらいことば)という、祝詞を述べる。
祓詞(はらいことば)
「掛けまくも畏き 伊邪那岐大神 筑紫の日向の橘の小戸の阿波岐原に 禊ぎ祓へ給ひし時に 生り坐せる祓戸の大神等 諸々の禍事・罪・穢 有らむをば 祓へ給ひ清め給へと 白すことを聞こし召せと 恐み恐みも白す。」
これは、イザナギ尊が、ヨミの国から逃げて帰った時に、禊をして身を清めているシーンだ。この時に目を洗いアマテラス大御神を、また鼻を洗いスサノヲ尊を、さらに耳を洗い月読姫を誕生させる。
この禊をした場所である、「小戸の阿波岐原」は、福岡市西区にあるとされ、現在その場所には小戸神社がある。
イザナギ尊がイザナミ尊と手を取り合って天地創造するとき、始めにできた足がかりとなる島のことを、「於能古呂(オノゴロ)島」と言った。小戸神社の近くには「能古島」があり、その先には「小呂島」がある。
更に内陸に目をやると、「日向峠」という場所が存在する。祝詞に出てくる「筑紫の日向」のことであろう。
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通説では、天照大神の孫であるニニギ尊は、天から「日向の国(宮崎県)の高千穂峰」に降臨したされる。
一方で、日本古代の支配者階級は、大陸からやってきたという痕跡が多く残されている。周代の呉越の影を引きずっていることは、私のブログで以前に述べた。http://ameblo.jp/shinzuru/theme8-10049595773.html
日本の支配者階級を神格化させるためには、「天」から来たことにしなければならない。
「天孫降臨」は、そのための挿入話である可能性が高い。九州での霊峰である「高千穂」が降臨場所に選ばれた???
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ここからは、仮説である。
「天孫降臨」の神話に「モデル」がいたとすれば、どうなるか?
「小呂島」→「能古島」、経由で「糸島」(当時は半島ではなく島だった)に入った呉越系渡来人は、海を渡ってきて、一時的に糸島を占拠した。そして、日向峠や小戸を含む一帯を支配下に置いた。。。
その出来事を、数世代に分割し、かつ「海」から水平移動してきたのではなく、「天」から垂直移動して来たようにアレンジしたのが現在の神話だった、と考えるのはどうだろう?
また、渡来系の神のことを「天津神」と書き、「あまつかみ」と呼ぶ。「海」も古来は「あま」と読んだ。この点も「海」を意識しているように思われる。
こう考えると、リアリティーが出てくる。なぜ、糸島半島に「天降神社」が多く残っているのかも頷ける。
祓詞という最も神聖な詞の中に「筑紫の日向」というキーワードを残していた理由も、「神様」にはウソはつきたくないという心理が働いていたのかもしれない。