【第3640回】



ソクラテスは、吟味されない人生は

生きる価値がないと言った。

わたしたちもそろそろ、自分の人生における

刷り込みやアンカーをよくよく検討していいころだ。

(中略)

昔の選択を考えなおせば、新しい決断に、

そして新しい一日の新しいチャンスに

気持ちを向けられるようになる。



(p.86「予想どおりに不合理」

 ダン・アリエリー 早川書房 原書2009年)




刷り込みはそのままの意味で、

アンカーとは、


最初に与えられた情報が

その後の意思決定の前提になる


認知のバイアスのことです。


僕はどちらかと言えば

吟味を繰り返す方なので


ソクラテス先生から

叱られないと思いますが


それでも刷り込みに

なっているものは何か


と言われると

どうか分かりません。


刷り込みというからには

普遍の価値ではなくて


ある種の偏見を含む

事実のことでしょうから


そのような事実が

僕の身の回りにあるかというと

ないのです。


例えば、夏に海に行くとか

正月前に餅つきするとかは


日本人として普遍の価値で


そのために新たな

選択ができないとしても


特に不満はありません。


そういう観点で言うと

現在に問題があって


その問題の周辺に

刷り込みやアンカーがないかどうか

検証すべきだろうと思います。





前回のこのテーマ記事でも

述べたように


所得が減ったのに

同じ暮らしを維持しようとして


結果、暮せなくなる

というのでは笑えません。


また、人間が孤独において

幸福になれないのは

ある程度自明であって、


にもかかわらず、


自分の欲を優先して

人間関係を破壊したのでは


孤独による不安によって

決して満たされません。


特に男性にとっては

女性の存在が大きく、


老後の幸福を決定的に

左右することなので


家庭に関する前提を

考えなおすことには

大きな意味があるでしょう。


それで生活を見直さねば

ならないと分かれば


新しい一日の新しいチャンス

が良く見えるというものです。


大病や不倫や子どもの自殺など


決定的になってから

刷り込みに気づいても遅すぎます。





僕は40歳の特定健康診断で

太り過ぎだと医者から言われ、


保健士さんから

指導を受けたことをきっかけに


一年で18kgの減量に

成功しましたが


それから4年後の現在も

維持し続けています。


もちろん、健康診断では

翌年から「問題なし」になって、


生活習慣として運動など

あらゆる条件をクリアしていますが


それもこれも

昔の選択を見直して


新たな選択をしたからです。


無理やりではなく、

細かな選択を変えたのですから


その良い選択を続ける

というだけになります。


もし、僕が再び健康問題を

起こしたとしたら


悪い選択をし始めた

ということですから


原因ははっきりすることでしょう。





何が言いたいかって

価値ある人生のために


動機を考え抜かないと

選択も変わらないということです。


考え抜かない限り、その選択は

誰かから誘導されたもので


つまり自分の人生を

生きていることには

ならないのですから


もったいないと感じます。


ご参考まで。