【第3612回】




成田悠輔さんという学者が


「仕事をサボる人より有害なのは、

無駄な仕事をがんばって

周りを巻き込む人」


という投稿をして

評判になっています。


ものの言い方にもよるし、


その時の状況などがあって

一概に言えたものではありませんが


自分の勝手な価値観で

「無駄」を断定してくる

そういう有能な人間が


ヒットラー的で

歴史上もっとも凶悪です。


もちろん、成果として

「儲かる」ということも

重要でしょうが


ドラッカー先生は

利益は企業存続の条件に過ぎない

と述べていることもあって


何を無駄とするかは

企業の姿勢であったり、


従業員を含めた貢献を

どのように捉えているかで


微妙に変わってきます。





SNSでは


「万能感をもった一般人が

自分の価値判断で断定して

悦に入っている」


ということが横行しています。


それは学者、

専門家連中でも同様で


社会の複雑系をあまりに軽視した

物言いに終始しているのです。


だからこそ、民主主義の

プロセスそのものに価値が

あるわけで、


正しい、間違いを断定して

支配を目的とするのであれば


大きな犯罪を犯すことになります。





従来の日本企業は

意思決定が非常に遅い


と揶揄されていましたが、


ドラッカー先生は

それこそが日本の強みで


意思決定のプロセスを

企業全体に浸透するまで

上下左右、何度も繰り返すことで


行動に移った時のレバレッジが


非常に強くなることを

指摘していました。


しかし、アメリカ企業は

スピードこそ重要であって


トップダウンしか考えないため


日本企業は無駄なことをする

とバカにしたわけです。


言い換えれば


伝統的な日本の価値こそ

民主主義を芯から捉えており


それが効果を発揮することを

証明してもいました。


このことは数字に表れにくく

目に見えるものでもないので


次第に軽視されたのでしょう。


個人的な考察として

ご参考まで。