【第3558回】
きれいな政治、というのは
一見して公平で
良いもののようですが
ある意味では戦前にあった
貴族院のような政治に
なっていくのではないかと
僕には思えます。
それがなぜかというと
裏金問題でますます
チェックの厳しくなった
お金の流れに関して
政治的にお金を
集めにくくなった結果、
政治家である前に、そもそも
お金持ちである人に権力が
集中するだろうからです。
…
それとも、実力があれば
お金は関係ないでしょうか。
僕にはそう思えません。
多数決が原則の
民主主義において
ひとりひとりの有権者が
人間の実力を見抜いていると
考えること自体が
ナンセンスです。
行動経済学でもある程度
証明されている通り、
権威によって人は
その人を判断しており、
実に短絡と言えます。
つまり、権威とは
その人の肩書であり、
どれだけの金持ちか、
または成功者か、という
尺度があるだけです。
…
そういう意味で、
裏金ではなく、
彼、自らのポケットマネーで
羽振りの良い接待でも受ければ
「彼はすごい人物だ」
と印象する人が大半なのですから
それで政治は動かされます。
翻って、
羽振りの良い接待を受けた後で、
けち臭い面会を
受けてみればいいのです。
どちらを応援するでしょうか。
多くの場合、
「腕の立つ」人間を選ぶとき
金が主要な判断になると
言い換えることができます。
そして、その金は
たいていの場合、
親ガチャに当たった人間だけが
良い環境のもと、
手に入れているものなのです。
…
アメリカの洗脳とも言える
個人主義、能力主義とは
機会均等の公平さを謳いながら
実際は、能力格差からくる
金銭で序列をつけた世界を
肯定し、是認する
ものでしかありません。
もともと、金の力が強い
この資本主義の世の中において、
それだけが影響力の源になる
考え方なのです。
日本でも世襲議員を
問題視していますが
そうであるなら尚更
ある程度の幅をもった
人間関係調整費とでも銘打った
使い方でもって
グループ内で分配する仕組みが
あっても良さそうなものだと
僕には思えます。
…
その上、先ほども述べたように
人間の信用を獲得する
「つき合い」という考え方で
金の流れが記載上、明白になれば
その信用は白々しいものとなって
合意形成の基礎はなくなります。
皆がフラットに意見を戦わす
というのは聞こえは良いですが、
バカでも分かる正論が
バカでかい声で叫ばれ
幅を利かすような
政治になりかねません。
ヒトラーの政治と言えば
分かりやすいでしょう。
…
そもそもの発端は
現代の民主主義にあります。
合意形成による多数決で
政治を動かす原理によって
金が重要なファクターとなるのです。
人が心理的な権威性に動かされず
論理的に「和を以て貴しとなす」
を理解したうえで
民主主義を本当に
目指すのであれば
何の問題もありませんが
そうではありません。
発展や進歩を前提とするなら
弱者切り捨てになりますが
それすらわからず
発展と進歩を善として
洗脳されて
個人主義、能力主義の
理想に囚われているのです。
ご参考まで。