【第3535回】



知人から「空飛ぶタイヤ」

という映画の話を聞かされました。


運送会社のトラックの

タイヤが外れて

人命を奪う事故を起こし


整備不良の過失を責められ

会社の倒産危機に陥ったが


トラック製造会社の

欠陥リコール隠蔽だった


という話だそうです。


運送会社の社長は倒産回避のため

従業員の家族、暮らしを守るため

奔走していたわけですが


真実は違ったということで

ハッピーエンドになります。


池井戸潤さんの小説が原作なので

ネタバレのレベルとも言えず


これだけの話なら

たくさんあるので


勧善懲悪を望む人のカタルシスに

貢献したのだろうと

察するところです。





僕は確かに不正があれば

正されるべきとは思うものの


こういう話でもって

「悪は向こう側にある」

という断定をデフォルトにさせる


心理的な誘導自体は

害があると思っています。


事実とは別の「陰謀論」だと

揶揄される背景には


こうした妄想的な理想が

入り込んでいるからだ

と思いますし、


ものごとの正しさ、間違い

白か黒かの思考自体が

問題を悪化させる場合も


多分にあるからです。


明らかな悪があれば

当然、犯罪として裁かれます。


誰の目にも明らかです。


しかし、そうではない、

互いの立場、言い分がありながら


悪として認定されるかされないか

微妙な争いがあるのは事実で


巻き込まれた人にとっては

悪としか言えなくても


社会として見たときに

やむなしとされるものもあります。


原発や米軍基地、

増税や防衛費の増大


コロナワクチンや

水俣病の認定など


言い出せばキリがありません。


勧善懲悪を望もうにも

外交問題や経済が絡んだ時に

結局は多数決の流れがあるし


少なくとも日本では


他国に比べて福祉や

セーフティーネットがあることで

納得せざるを得ないのです。


例えば、僕は

コロナワクチン自体は悪だ

と判断していますが、


アメリカの製薬会社から


「こちらが持っている権利薬品との

バーター(交換条件)で

ワクチンをたくさん購入しろ」


と言われれば


国として、天秤にかけたときに

コロナワクチンのリスクを

取った方が益するのですから、


どうしようもありません。


僕が仮に首相であっても、

自分に針を打って、


「皆さんも打ちましょう」

と言うだろうと思います。


僕は一般市民だから

打たない選択ができたまでです。





何が言いたいかって

僕の理解としては


不正が正されるのを

待つのではなく、


リスクを認識して

そのリスクを引き受けたく

ないのであれば


自らの判断と行動で

回避するように生きていくべきだ

ということです。


「自分が正しいから」と言って

対策を取らずに

トラブルに巻き込まれ、


人生の数年、数十年、

あるいはそのほとんどを

失ったとしたら、


いくら金で賠償されても

時間は二度と戻って来ません。


正しさを証明したからと言って

それが何になるでしょうか。


人生が幸福でなくて

その他のことに

なんの意味があるでしょうか。


もちろん、

正しさを追求した結果

法律や防衛手段が生まれて


有益なことも多いので

闘うことも重要ですが


それと同時に、


過去に起きたリスクを評価し、

対策を取って生きることも

重要だと感じています。





日本では幕末以後

外交における侵略行為から

避け続けるために


やむを得ず、戦争もやりましたが


アメリカのメディア支配や

原爆の使用を前にして、


戦争という選択自体に

解決がないことを悟ったのです。


それ以来、経済を

盾にすることに努め、


経済協力によって外交的な解決を

図ろうとしましたが


日中国交正常化という

日本独自の解決を見出した

田中角栄さんが、


アメリカに

政治生命を絶たれたことから


それでさえ、攻撃の対象となる

と理解されています。


そういう意味で、

現在の岸田首相の立ち回りは

現代における「最善」です。


これ以上の有能な人は

そうそうおらず、


このタイミングで彼が

日本の首相になったことは


本当に国民にとって幸運だったと

思わずにいられません。





勧善懲悪も良いですが、


以上を踏まえ、

本当の問題解決には

ステルス的な要素もあります。


裏金をどうこう騒いでいますが


富裕層による一般市民の奴隷化

に比べたら大した問題ではなく、


真の問題に対処するために

力も必要だと考えれば


僕らの方から積極的に歴史を学び、


何が起きているのかを

理解していく必要もある

と考える次第です。


ご参考まで。