【第3492回】



この実験でわかったことは、最初の決断が

その後の決断にのちのちまで余韻を残すということだ。

第一印象は重要だ。


初期のDVDプレーヤーがいまより

ずっと高価だったことを覚えている

(そして、それに比べれば、現在の価格など

破格の安さだと感じる)場合にも、


かつてはガソリンが一ガロンあたり

一ドルだったことを覚えている

(そして、ガソリンスタンドに行くたびに

つらい思いをする)場合にも言える。



(p.74「予想どおりに不合理」

 ダン・アリエリー 早川書房 原書2009年)


引用元の本は

行動経済学が元で


実験についても

合理的に判断ができる条件で

なされたものであることは


言うまでもありません。


重要なのは、

得られた結論が


僕らが既に知っている常識を


裏付けるものでしかない

ということです。


岸田首相を無暗に

批判する人たちは


過去の安価なデフレ感覚を


いまだに引きずって

いるに過ぎず、


経済停滞を招くデフレを

解消する政策であると


考え直す必要があります。





「バビロンの大富豪」

という経済に関する名著では


「あらゆる仕事、給料、

待遇の人がいる中で


なぜ皆が同じように

給料前に財布の中身が

空になるのでしょうか」、


というような問いを

投げかけていました。


比較対象群の

程度問題はあるにせよ


皆が同じ待遇であるはずもなく


にもかかわらず

同じ支出をしていたら


財布が空どころでは

なくなります。


しかし、結果は大方、

自分の給料に見合った分を


ただ使い切る生活を

しているだけなのです。


つまり、着目すべきは

価格に対する不満以前に


自分が何に金を使っているか

自覚的になることと言えます。





これが商売ともなれば


なおさら敏感になる

必要があります。


そうでなければ

すぐに支出バランスが崩れ

破たんすることになります。


価格が原価に見合わない

ということが


果たして本当のものか、


引用のような態度で

不満を言いながら


良い変化も悪い変化も

見直すことなく


戦略を改訂しないのであれば

やはり経営者として

怠慢と言わざるを得ません。





それにしても

引用の心理作用が


一般的なものであることに

非常に困惑させられます。


なぜなら、

現実を見ることよりも


過去に囚われて判断する

ということが普通だ


となるからです。


「不適切にもほどがある」

というドラマが


時代錯誤の感動物語で

あるにもかかわらず


誰もそれに違和感を持たない

のも無理はありません。


個人的な意見として

ご参考まで。