【第3459回】
「原爆の父」の映画が
アカデミー賞7部門を
受賞したそうです。
この映画には
長崎、広島の原爆投下が
描かれていないそうで
「父」の苦悩が
その主題になっています。
人種差別もここまで
根深いと驚愕です。
原爆の父という呼称であれば
子、孫まで受け継がれ、
にもかかわらず、
原爆の人間に対する使用を
描かないで済むと思っている、
こんなものは芸術でも
なんでもありません。
つまり、無意識に対する
葛藤などなく、
自意識の正当化のために
苦しみでもって
ヒロイックに喜んでいるのです。
普段、この無意識に対する
人間の向き合い方には
心理的に厳密すぎる
きらいがあるので
それほど当てはめませんが
やはりこの理解がないために
簡単に「芸術」と呼称して
詐術をやらかしています。
…
例えば、太宰治の
「人間失格」という本は
僕も若いころは
何度か読みましたが
内容は太宰の自己正当化であり
人間失格と言いながら
失格を言い渡した人間の方を
暗に非難しているのです。
つまり、自分のことを
本当には内省しておらず
悲劇のヒーローを気取って
いるに過ぎません。
言い方を変えれば
自分自身の妄想に耽って
他人に対する想像力など
全く使っていないのです。
先に述べた
「オッペンハイマー」も
同じ過ちを犯しており、
無意識への旅立ちを
偽装している点で
まったく芸術などでは
ありません。
個人的な意見として
ご参考まで。