【第3451回】




よく自己啓発などで

散見される考え方として


「積極的にポジティブに

何事も解釈することで

幸福になれる」


というものがあります。


言い換えれば


「自分に都合の良い主観で

世の中を眺めて生きていけ」


という態度になりますが

ある面では確かに

そうだろうと思います。


客観的な評価、

他人の評価ではなく


自分軸で、自分の成長に

目を向けていれば

幸せになれますよ


というのは一見して

合理的に見えるものです。


こういうポジティブ心理学の

権化とも言えるのが


大谷翔平選手であって


おそらく彼の態度を

否定する人は


今の世間に存在しません。


そういう意味で、


「あんた大谷翔平に

噛み付くことを

よく言っているよね」


と半笑いであきれたように

言われることもありますが


ただ球を遠くに叩き飛ばして

球を速く投げるという


生産と幸福に

なんの関係もない共同幻想で

大金を稼いで生きている


20代の日本人男性を

そのように評価している

だけのことです。


その技術や仕事の向き合い方に

哲学があれば


もちろん尊敬に値しますが


つまり、スポーツを超えた

道の精神を感じれば

意味が変わりますが


日本の小学生ならだれでも

知ってるくらいの

礼儀正しさ程度では


何も言うことはありません。


彼にあるのは、他者にはない


非常に高い身長と高い視野、

長いリーチの腕

広い歩幅による優位性で、


そこにポジティブが加わって


二刀流の身体における有利さを

口を閉ざして利用しています。


身体を一辺倒に使えば

壊れることぐらい


デスクワークしている人なら

十分に知っていますが


その条件で、ほとんどの

アスリートは向上を

目指しているのです。


遺伝や生育環境も

大いに関係しますが

それだけのことで、


だれでもその影響に

さらされます。


それが今の時代にたまたま

マッチしたに過ぎず、


他の時代なら活躍したかどうか

わかりはしません。





何が言いたいかって

いくらポジティブがあっても


自分の身体を含めた

取り囲む「自然」によって


その運命は大きく左右される

ということです。


どれだけポジティブに

成功しようとも


先の大地震のような

災厄に巻き込まれれば


「なんで神様は

こんなことをするんだ」


というしかなくなります。


良くも悪くも

僕らは自然を無視して


自力だけが人生だと

信じ込んで生きていますが


そして、それこそが

西洋思想というものですが


現実的な人生は

結局それと異なるのです。


そういう意味で、

僕が啓発的だと感じるのは


現実的に人間の有様

人生を捉えた哲学、人物

に限られます。


そう難しく考えたら

何もわからず

人生が苦しくなる


という意見もありますが


僕が難しいのではなく

実存、人生こそ難しいのです。


災厄による不幸を始め

自動車事故、火事、殺人など


ポジティブでは捉えられない

突然の不幸は現実であって


それを避け、未然に解決する

そういう生き方を知るべきだと

考えています。


個人的な意見として

ご参考まで。