【第3445回】




私よりももっと正直であることが

できるかどうか試してみるがいいのである。

(中略)

夢判断を終わってみると、夢というものが

ひとつの願望充足であることがわかるのである




(p.158「夢判断(上)」

 フロイト 新潮文庫 原著1900年)



フロイトが言いたいのは

自分に正直であることは

難しいということです。


当たり前で簡単な

理屈に聞こえるでしょうが


出来ている人を

そうそう見かけることは

ありません。


どこかで自己に対する

理想でもって

自分を眺めているし


それを否定するだけの

勇気もないのです。


だから精神疾患という


精神の矛盾から来る

不調が存在しています。


もしそうでないなら

脳機能障害なので


もっと原因は物理的に

分かりやすいでしょう。





引用にある願望充足とは


現実世界で抱いている

自己の理想とは違って


本当に望んでいるものが

明け透けに現われる


と考えていいでしょう。


そういうものを

認める能力のない人が


いくらフロイトの夢判断を

実践しようにも


無意識に正直たりえないので


「インチキだ」と言って

自己正当化を図ってしまいます。


夢判断の目的は、

精神の矛盾に気づき、


その矛盾を

解きほぐすことによって


現実世界での問題を

根本から解決させることです。


そういう動機もなく

現実世界の理想を壊すことなど


普通、出来るものでは

ありません。


そういう意味で、


なぜ夢を知りたいのか

自分の中ではっきりさせる

必要があるでしょう。


ご参考まで。