【第3053回】



搾取者が用いるトリックによってこうした方法が

本来の働きを失ってしまうとしたら、私たちは当然

それをあまり使わなくなってしまうでしょうし、

決定を迫られるさまざまな出来事に

うまく対処することが難しくなってしまうはずです。



(p.333「影響力の武器――なぜ、人は動かされるのか」

 ロバート・B・チャルディーニ 誠信書房 1985年)



今回でこのテーマは終了です。


心理的な反応を

大きな項目で説明した

行動経済学の名著でした。





引用にある本来の働きとは


恩に報いることであり

(返報性)

経験を重んじること、

(一貫性)


コミュニティの判断を信じ、

(社会的証明)

良い人や、賢い人を信じ、

(好意)(権威性)


貴重な事柄を大事にすること、

(希少性)


人間の判断基準として

自然なことを指しています。


そういう、人間の

ある意味での

常識を逆手にとって


他者をだます人間が増えれば


あらゆることに

耳をふさがなければ

ならなくなるでしょう。


当然、決断をするときに

エビデンスやお金という


物証でしか動かない人間が

増えていくのは


自然の成り行き

というものです。





社会は殺伐としていますが

その悪影響に関して


決然と拒否すべきというのが

著者の意見です。


搾取した人間には

絶対に従わない

という報復によって


搾取は損であることを

多くの人が示す

必要があります。


まあ、それでもなかなか

なくなりはしませんが。





先日から、政府が決定した


新NISA制度による

非常なるメリットを


僕は述べています。


このことに関しても

投資詐欺が横行したり、


投資で一貫性の罠にかかって

大損する人が居るせいで


なかなか理解されない

という可能性もあるでしょう。


確たる物証をみせるにも


長期投資効果による

絶大なメリットが


新NISA制度の本質なので


成果を確認するには

20年ほど遅れる

しかありません。





何が言いたいかって


著者が言うような

搾取者に対抗するには


やはり常に調べ、学ぶ


そういう姿勢が不可欠だ

ということです。


証拠を欲しがっているうちは

なにもできはしません。


理屈や論理で理解する

そういう能力こそが


現代人には必要なのです。


ということで、

このテーマの総論としては

以上になります。


有難うございました。