【第2954回】



アサーティブな行動が阻まれるいちばんの原因は、

「ほかの人に認められなければならない」と思うことだ。

この思いこみは私たちの心に深く根を張っている。

大人は子どもの行儀がいいと、「いい子だね」とか

「パパもほめてくれるでしょう」などと言う。


このため子どもは、人によく思われるようにふるまわなければ、

愛情のこもった反応を引き出せないという考えを植え付けられてしまうのだ。



(p.64「第四の生き方」

 アン・ディクソン つげ書房新社 1982年)



褒めることの弊害が


恐怖や不安であることを

よく表現しています。


価値観の押し付けであり、


迎合する事への強迫に

なっていないか


よくよく検証しないと


子どもは知らず知らず

圧迫を受けるはめになります。


ちなみに、アサーティブとは


相手への思いやりがあり、

自分の意見を率直に表現できる


そんな状態を指しています。





ただし、昨日の記事でも

指摘したことですが、


経済や社会の圧迫が

大人の価値観や態度を決定して


それを子供によかれと思って

実行させていることが


大半と言えるでしょう。


そうした最中に、

子どもの問題として


不登校やニートが

表れてきます。


言うまでもなく、

この問題を解決したければ


親がアサーティブになり、


自らが率直さを

回復する必要があるのです。


しかし、それはとてつもなく

難しいことでもあります。


大半の親がそこから逃げ出し、


社会や経済のせいに

するでしょうが、


それが正しいがゆえに

問題をそのままにするのです。





心理学者の河合隼雄さんが

生前語っていましたが、


「現代において

子育ては大事業だと

覚悟する必要がある」


ということです。


物に恵まれすぎて

心で感じることを

疎かにした結果、


心の問題を心でしか

解決できなくなった、


という難題に

さらされています。


なにをやっても、

なにを用意しても

無駄なのです。


心が伴わなければ。


そういう覚悟と、学問が

親に対して求められ、


しかし、社会や経済は

逆行しているのですから


解決する見込みなど

ありはしません。


結婚や出産が減少するのも

この矛盾のせいだと言って


まったく差し支えないでしょう。


個人的な考察として

ご参考まで。