【第2876回】




チンパンジーの離乳は遅い。乳離れは4~5歳ごろというのが妥当だろう。

その後も,不安にかられると乳首に吸いついていた。

乳首を求めなくなったのは6歳になってからである。

(中略)

チンパンジーに年子はない。野生チンパンジーの過去46年間の出産534例を

集めた最新の調査では,出産間隔は5年に1度である。

寿命は最長50歳で死ぬ間際まで産む。

(中略)

人間には,伴侶がいて,孫の世代を育てるお年寄りがいる。

母親以外の仲間が助けて,「子どもたち」をみんなで一緒に育てていく。

そうした人間の子育てに固有な特徴が見えてきた。



(人間とチンパンジーの子育ての違い

 https://www.pri.kyoto-u.ac.jp/sections/langint/ai/ja/k/066.html

 京都大学霊長類研究所 出典:岩波書店「科学」2007年6月号 Vol.77 No.6)




人間の子育てについて

考えていたら


引用の記事を見つけたので

述べてみます。





チンパンジーの離乳期間は

次の子供の出産と関連しており、


5年スパンだから

その分、離乳が遅れる

というわけです。


かたや人間の場合、

出産可能年齢も短く


一時期に集中して

子どもを産むために、


一年ほどで次の子供を

もうけることから


離乳期間も短くなる

ということになります。


つまり、生殖に合わせて

離乳が変るということです。


しかし、


基本的に子育て期間自体は

人間のほうが長いこともあって


乳を吸うことで

不安を解消する期間も

本来長くなるはずですが


(授乳による栄養補給は

チンパンジーでも早期に

意味を終えるようです)


逆に授乳を

短く切り上げる事には


矛盾があると言えます。


その矛盾をどうやって

克服したかというと


引用にあるように、

コミュニティ全体で

子どもを相手にすることで


不安を解消し、情緒を育てた

ということなのです。





ここに現代のマザコンの

増加の理由が見えます。


コミュニティが崩壊して

子どもを核家族で育てるのに


夫婦は共働きで

相手にできません。


もちろん、保育士などの

力を借りることになりますが、


その人々は経済的な

つながりであって


コミュニティとして

共に生きる人とは違うのです。


そうなると、原理的に


核家族の離乳期間は

チンパンジー同様

長くとるべきはずですが、


人間はそのように

進化していないので


次の子供が生まれて

上の子どもの不安はそのまま


つまり、愛情不足のまま

成人することになります。


そうすると

「一人っ子が一番マシ」

ということになるのですが


そこはやはり

現代のドグマです。


結局、一人っ子でも


離乳期間を親のほうが

勝手に決めているので


子どもにとっての

口唇欲求はそのままに


成長せざるを得ません。





何が言いたいかって


子どもにとって、

つまらない世界を

大人が作り上げた


という他ないのです。


その子どもも大人になり

大人の勝手な世界観を

踏襲するので


これから先も

変わりないでしょう。





チンパンジーが

コミュニティから離れて


人間に育てられると、


同種の仲間よりも

人間の顔色を気にする

ようになるそうです。


その結果、性行為や

コミュニケーションを

取りづらくなって


繁殖できないし、


繁殖しても育児放棄を

するようになります。


そしてそれは親から子へ

伝染するのです。


現代人の有様と


どれほどの違いが

あるでしょうか。


現代世界ではどうしようも

ありませんが、


このことは頭に置いておく

必要があるでしょう。


ご参考まで。