【第2765回】



患者はこんな心の悩みを持ちこたえながら、

しかも学校の成績はよくて休学もせずにやってきた。

これが私のいう神経質の一つの特徴で、私のいう意志薄弱性の強迫行為というものと、

明らかに異なるところである。



(p.97「神経衰弱と強迫観念の根治法」

 森田正馬 白揚社 原書1926年)



恐怖や不安、

つまり、葛藤や内省が


強迫観念として

収まらない場合には


現実的な適応を伴っている

ということができるでしょう。


必死に自分の生活と

戦いながら生きて、


それで疲れ果てて

診察に来るのですが


現実的な対処がベースなので


問題化しているのは

自分の精神だけと言えます。





それに対して

「意志薄弱性の強迫行為」

というのが


何なのかというと


葛藤や内省を伴わない

強迫行為を指しています。


このことに関しては

引用元の著者にとって

適用外とのことで、


返って難しいと言えそうです。


僕が最も気になる

強迫行為のパターンとしても


葛藤や内省を伴いにくい

ピッタリ系がそれにあたります。


このテーマの他の記事でも

触れているように


自我親和性、つまり

葛藤や内省がなく、


罪悪感や問題意識を持たないので

改善されないのです。


ピッタリ系とは


自分の勝手な基準に対して

ぴったりとするまで

強迫行為を止めないことで、


他人には意味の分からない

行為、基準に対して


行為の正当性に対する

保証の要求と、


行為の強要、代行要求という

巻き込みが起こります。


この巻き込みは

他の強迫行為にも起きますが、


ピッタリ系には

自我親和性があるので


罪の意識なく、

他人を破壊するのです。





これを知るまでは

長いこと、僕にとって


現実に適応して生きる

理解不能の

人間たちがいましたが


はっきりと認識できる

ようになりました。


そしてそれは、

目に見えませんが


れっきとした病気なのです。


そういう意味で僕にとって

重要な観点なので


またこのテーマ記事で

考えを深めていきます。


ご参考まで。