【第2037回】



僕は武田鉄矢さんの

「今朝の三枚おろし」

というラジオ番組を


ポッドキャストで

聞く習慣があるのですが、


このほど、

「ファクトフルネス」

というベストセラーをネタに


語っておられました。


なにも、武田さんの

いうことすべてが

正しいと思って


聞いているわけ

ではありませんが、


武田さんの思索と共に

僕も考えるという

だけのことです。





で、この

ファクトフルネス

という本は、


世界の事実を

しっかり認識しよう、


思い込みで

世界を見るのはやめよう


という趣旨で

あらゆる統計から

事実認識をアップデート


させることを

主眼としています。


以前も僕は

この本について

少しとりあげた時に


批判めいたことを

述べたのですが、


統計情報を読み解いて、

偏見を介入させない方が


難しいし、重要だと

思っているので


もろ手をあげて

賛成できない結論も

あるにはあります。


ですが、


今回、武田さんが

コロナ騒動のさなかに

この本をネタにして


疑問を投げかけたのには

意義があると思ったのです。


例えば、


農薬としてDDTを

使うことの危険性を

指摘して制限した結果、


蚊が増えて

マラリアの媒介による

死者が数万人出たとか、


福島原発事故に関しては

被曝を怖れての避難で


避難したことによる

高齢者の関連死が

1600人出た、


などという、


恐怖に基づくリスク回避を

行った結果、


より大きいリスクを

被ったことを

紹介しています。


そのことを指して、


「だれかを責めれば

物事は解決する」


という思い込み


「いますぐ手を打たないと

大変なことになる」


という思い込み


として人間の本能的反応

を非難してもいるのです。





ところが、

武田さんは尻切れトンボで


急にこのネタを

終わらせています。


熱弁していたのが

突然終わった印象です。


まあ、

そういうこともあるので


一概に勘ぐるわけにも

いきませんが


このご時世、

逆行する意見を出すと


どんな目にあうか

しれませんから


一度引いたのでしょう。


いずれにしても、

ファクトフルネスから

武田さんは、


「その道のスペシャリストは

その道の事しか知らない」


というなかなかの

ワードを口にしています。


ノーベル賞というからには

その道に専心

しなければならず、


仮にも社会や政治などの

領域に関する意見を言う場合、


専門家としての

分をわきまえた態度が

重要だ


ということだろう

と思います。


つまり、専門家ではなく

ジェネラリストが

もっと必要だということです。


日本では残念ながら

そうした教育はほとんど

見かけません。





もう一つ気になるのは


ファクトフルネスが

世界でベストセラーに

なったからには


コロナ騒動に対して

反対の意見を言う人が

もう少しいても


良さそうなものだ

ということです。


ビル・ゲイツや

バラク・オバマなど


著名人もこの本を

絶賛しているとのことで、


これらの人は

結果論でしか


ファクトフルネスに

なれないの

かもしれませんが


それでは、

人間の本能に対して


何一つ教訓にできない

のと同じことです。


ということで、

ごく個人的な意見として


ご参考まで。