【第1857回】



コミュニケーションが最高の力を発揮すれば転換が訪れる。

つまり、人格・価値観・信念・願望の変化がもたらされる。

しかしそのようなことは、めったに起こらない人間の実存にかかわる現象である。

人間のあらゆる基本的な心理要因が総力をあげて抵抗する現象である。

(中略)

メッセージが受け手の価値観に入り込めなければならない。



(p.222「すでに起こった未来」

 P.F.ドラッカー ダイヤモンド社 1994年)



引用はコミュニケーションの

性質について

述べられたものです。


相手に入り込む情報は

価値観に沿ったものだけであり、


それ以外では

何も要求しない、

中立の情報だけのようです。


そういう意味で、

コミュニケーションが


相手に別の何かを

知ることを要求する

ものだとしたら


相手の価値観を知ることが

第一の要件であり、


相手の価値観に沿った

言葉を使わないと


まったく知らせることは

できません。


また、


価値観だけに終始すると

新たな知覚を生み出すことは

不可能なのですから、


相手の価値観に沿った

言葉で語りながら、


そして、相手の価値観を

破壊しないようにすすめながら


それでいて、最終的に

相手の行為や思考が


相手の価値観とは

合致しないことを


相手自ら証明するよう

促すことが必要なのです。


その断絶を知覚することで

初めて引用にある


転換は訪れます。





実存にかかわる意味で

転換に必要なのは


自らの価値観を徹底して

検証することになります。


そのことが現実と

どれだけ離れているか

を悟るとき


自分の一貫性のために

変化が必要だと

自覚できるのです。


そして、


「自らの価値観を

徹底して検証する」


というのを具体的に

表現するなら


自らの歴史を徹底して

思い返すことであり、


幼少期の人格形成に

影響を与える

どんな出来事や人物がいたかを


知ることになります。


価値観の源泉を知れば

本当の自分の望みも

おのずと知れましょう。


僕が認識する

コミュニケーションとは


以上の意味での探求を

指しているのです。


ご参考まで。