【第1787回】



知的な働きかけは、あるひとを動かすことが少ないが、

このような直接体験によるときは、その人を動かす基となるのである。



(p.119「ユング心理学入門」

 河合隼雄 培風館 1967年)



人と比較をすることで

羨ましがったり、


本当に自分とって

必要なことから

目がそれてしまうことは、


人間にとって

喜ばしいことではありません。


だからといって、


「人と比較をしてはならない、

なぜなら、…」


という説明をしたところで

人間の行動が変わる

はずもありませんし、


説明で変えられるなら

この世は天国でしょう。


引用文で説明される

「直接体験」とは


夢で年長者から

比較される情景を見た


というような、


理屈ではなく、

感情が動く体験を


指しています。


人と比較し、

その差を恐れるのは、

自分が比較されてきたからだ


というのを外的な原因として

感情的に納得する方が


よほど自分に対して

比較をしない許しを

与えやすいのです。


一発で変化できる人のほうが

稀でしょうが、


少なくとも、比較をしたときに、

「また同じことを気にしたな」


というフィードバックが

できる点で


嫉妬にかられる意識の解放と

その時間の短縮に役立ちます。





強迫観念は、

あらゆる自己啓発を

無効にします。


強迫の元となる経験や

原因となった人物、


その特定と

距離感こそが


だんだんと対応可能性を

広げるのです。


ご参考まで。