世見
2022年12月30日(金)


正月の食事  

私が子供の頃の冷蔵庫といえば、氷を入れて冷やすタイプしかなかったと思います。
だからね、食材の買い溜めなんて出来ませんでしたからね。今日はどこの市場も大賑わいで、おせち料理はそれぞれの家の味があり、母親は一日中台所に立っていたのを思い出します。
今は元旦でもコンビニが開いており、食事に困ることはありませんが、ほんの少し前までは、初荷の食材が届くのが確か4日だったと思います。
お正月の三が日は、女性が、一年で一番料理をあまりしなくてもいい日でもありました。おせちがありますからね。勿論、お雑煮が元旦一番のお食事でした。
ただね、このお雑煮は室町時代の宴席で出されていましたから、貴族の家ではお正月にはすでに食べていたようです。
江戸時代になってから、正月の祝い膳になり、庶民にも定着したのです。
お雑煮はこの字を見てもわかるように、いろんな食材を一緒にして煮たことからこの名が付きました。
元日の早朝に汲む若水でつくるお雑煮は、新年の幸福を願っていただくのが習わしで、今とは違い、人々は様々なところに感謝の思いがあった気がします。
この若水というのは、井戸水が主流だった故に、もしかすると井戸から水を汲み上げる時、いつもより心が引き締まったと思います。
今は便利になりすぎて、電子レンジがあれば冷凍食品で賄えますが、こうした便利な機器がない頃は、薪でご飯を炊き、炭をおこしておかずを作っていましたから、食事を取ることへの思いは、今とは随分違いました。
ところで、あなたの家ではどのようなお雑煮ですか? 我が家ではすまし汁です。
京都は白味噌仕立ての汁に、焼かずに丸餅を入れます。
東京は醤油仕立てのすまし汁に、焼いた切り餅(角餅)を入れるようですね。
今年もこの世見をご覧いただき、ありがとうございました。
来年は、お読みくださるあなた様に少しでも寄り添えるような文章が書けることを心から願っています