世見
2022年5月24日(火)
案山子とさば
人間が作り出した神様達は、どのような思いで人間に答えようとしているのでしょうか。
日本にもこのような神様がおられました。
久延毘古(くえびこ)神は、この世のすべてを見通す力を持つ神様です。
と申しましても、神様の正体は田んぼに立つ“案山子”のことです。
ただ、この神様は古事記の時代から存在していましたから、由緒正しい神様なのです。
久延毘古とは、「体が崩れていて歩けない」という意味なのですよ。
別名は山田の曽富謄(そほど)。
“そほど”とは、「濡れそぼつ」などという風に使われます。
久延毘古は、風雨に耐えるボロボロになっている一本足の案山子の神様なのです。
出身は日本。守備範囲は知恵・農業。
でも、最近案山子を見なくなった気がします。
もしかしたら、案山子が神様だったことも忘れているのかもしれません。
もし見かけたら、それは総てを見透かす神様なので、ご自分の未来を聞いてみられては如何でしょうか。
あなたは歯が痛くなったことはありますか?
実は、東京都には鯖稲荷(さばいなり)明神という神社があります。
今ではこの神様は新橋におられますが、昔は日比谷に鎮座していました。
日比谷時代からサバの呼び名はありましたが、当時は鯖ではなく「旅泊」と書いてサバと読んでいました。
旅人にご利益がある神社でしたが、虫歯にも効くとも言われるようになったのです。
江戸時代までは、東京は「水の都市」でした。
新橋にも直ぐ近くまで海が迫り、近くの湾では鯖などもよく獲れましたから、“旅泊=鯖”に繋がり、やがて歯痛には鯖、ということになりました。
出身、日本。守備範囲は歯痛・虫封じです。