外来種とは、もとはその地域にいなかったにも関わらず、様々な理由で他の地域から入ってきてしまった生物のことです。 外来種は、もとからその地域に存在していた在来種の生息地を奪うことがあり、それによって生態系のバランスが崩れてしまうことがあります。

ほとんどの外来種は、訪れた場所で定着することはありません。 気候など環境が合わず、短い期間で消滅してしまうのです。 しかし、原産地では問題なく生息していた生物が、侵入した先で侵略性を発揮してしまう場合があります。 外来種が訪れた新たな地域では、天敵が存在しないことがあり、それによって成長と繁殖が向上するのです。

外来種は国外からだけではなく、国内の他の場所から移動してきたものも含みます。 例えば、同じ日本国内であっても、海に囲まれた島であれば独自の生態系が作られていることがあり、そこに国内の別の地域の動物が持ち込まれてしまうことで、バランスが崩れてしまうこともあるのです。

生態系への影響

生態系は長い時間をかけて形成されるもので、生き物たちの食物連鎖や住み分け、関わり合いなどが、自然なバランスで成り立っています。 そこに外来種が入り込んでしまうと、もともとその場所にいた在来種が追いやられ、自然のバランスが崩れてしまいます。 他にも、外来種が近縁の在来種と交雑して雑種を作ってしまうことで遺伝子汚染が起こってしまいます。

農林水産業への影響

外来種が田畑を荒らしてしまうことや、漁業の対象となる生物を捕食してしまうことで、危害を加えてしまうケースがあります。 近年、都内でアライグマによる相談が増え、農作物だけでなく住居が荒らされることもあるようです。

人の生命・身体への被害

外来種の中には毒を持っていることがあります。そんな生物に噛まれたり刺されたりしてしまうと大変危険です。 本来であれば、その地域にはなかった病気の発症や感染の危険も考えられるのです。

外来種の問題は人間の活動によって、繁殖してしまった生物の問題であり、単純に駆除することで解決するには、微妙な問題と言えるかもしれません。 そのため、人間は責任を持って自分たちが管理できるものは管理を徹底し、自然のバランスを崩さないよう、注意する必要があるでしょう。


外来種によってどのような問題が起きる?

捕食
もともとそこに生息していた動物や植物を食べてしまう。
ブラックバス、アライグマ、マングースなど

競合
同じような食物や生息環境を持っている在来の生物から、それを奪い、駆逐してしまう。
タイワンリス、ホテイアオイ、オオタナゴなど

交雑
近縁の種同士で交配が起こり、雑種が生まれてしまう(遺伝子の汚染)。種としての純血と、病気などに対する抗体が失われるおそれ。
タイワンザル、タイリクバラタナゴなど

感染
それまでその場所に存在しなかった他の地域の病気や寄生性の生物を持ち込む。
オオブタクサ、カ、ネズミ類

どのような影響が心配される?

生物多様性への影響
在来の野生生物の減少や絶滅、地域の植生の変化などを引き起こす

農林業、漁業への影響
野菜や木材などの質や生産量の低下。漁業の対象となっている魚などの減少。

人間の健康への影響
本来その地域や国に存在しなかった病気の発症と感染。