元世界ランキング25位のジェレミー・シャルディ(フランス)が、新型コロナウイルスのワクチン接種の影響により今シーズンを終了すると明かした。仏スポーツメディア L'EQUIPEが報じている。
世界73位、34歳のシャルディは、「東京オリンピック」から「全米オープン」までの間にワクチンを接種して以来、身体を動かすと全身に激しい痛みを感じるようになり、テニスができる状態ではないと次のように説明した。
「ワクチンを受けてから僕の身体にいくつかの問題が起きている。その結果、トレーニングをすることもプレーをすることもできない。無理に急ぐことなく時間をかけて治して、この先は問題が起きないようにしたいと思っている。シーズンを中断せざるを得ず、いつ再開できるかもわからない。今となってはワクチンを接種したことを後悔しているけど、こんなことになるなんて思わなかったんだ。来年の2月に僕は35歳になる。以前はもっと長くプレーするつもりだったけど、来シーズンが最後になるかもしれないという考えが初めて頭をよぎったよ」
複数の医師に会い、いくつもの検査を受けた結果、シーズン終了という結論に至ったシャルディは、シーズン初めは好調だっただけに悔しいと話す。「ATP250 アンタルヤ」と「ATP250 メルボルン2」でベスト4、「ATP500 ロッテルダム」と「ATP500 ドバイ」ではベスト8。「東京オリンピック」で準々決勝まで進んだものの、「全米オープン」ではマッテオ・ベレッティーニ(イタリア)にストレート負けを喫し、1回戦で姿を消した。
男女ともにワクチンの接種率が50%程度に留まっているとされるテニス界では、接種をめぐって選手たちの意見が大きく分かれている。元世界王者のアンディ・マレー(イギリス)が、世界中を飛び回るテニス選手だからこそ、いっそう接種が必要だと訴える一方、世界王者のノバク・ジョコビッチ(セルビア)はワクチン接種を個人の自由とするスタンスを貫いている。当初は接種に後ろ向きだった世界3位のステファノス・チチパス(ギリシャ)はのちに考えを改め、年内に接種を受ける意向を示した。
先日の「全米オープン」では、12歳以上の観客に対してワクチンを少なくとも1回接種した証明書の提示が求められた一方、選手やチームメンバーが同様の措置を求められることはなかった。今のところテニス界で選手たちのワクチン接種を義務化する動きは伝えられていないが、今後の大会側や選手たちの動向も注視していきたい。