松原照子世見
2021年6月26日(土)
香港
あれから一年が経つのですね。
中国政府による「香港国家安全維持法」が施行されたのが2020年6月末日でした。
高度な自治を約束した「一国二制度」が、アッという間に骨抜きにされてしまった法律で、悲しいことに香港の民主化運動は萎縮の一途を辿っています。
「香港国家安全維持法」が施行された直後、香港の人が警官に取り押さえるのをニュースで目にした時は、心が凍りました。
6月30日という日は、中国にとって最も重要な日なのです。
翌7月1日は、香港が中国に返還された日だったからです。
香港国家安全維持法は6月30日に習近平国家主席が署名、その夜には施行されたのです。
7月1日には例年民主化デモが行われるからだったのでしょう。
この法律のために「国家安全維持公署」が香港に新しくでき、香港政府内に「国家安全維持委員会」が設置されたのです。
中国政府はこれらを通じて、香港の政治と統治に強く介入出来るのです。
このことから、同法によって「政権の転覆」「国家の分裂」「テロ活動」「国家の安全を危険に晒す外国勢力との結託」の行為が処罰の対象となるのです。
最高では終身刑が科せられるのですが、恣意的な運用が可能でもありますし、
何がどのように違法となるのかは“国のさじ加減”といったところも見え、恐さが見え隠れします。
この法律の恐ろしさは、外国人裁判官の排除や陪審なしの非公開裁判が出来ることです。推定無罪の原則や、公平性・透明性が見えない裁判になってしまうかもしれないのです。
7月1日に早速逮捕された人がいます。その理由は、バックパックに香港独立と書いた旗を持っていたからだと言います。
中国は何処へ向かうのでしょうか。