迅速検査キット 最短40分
キヤノンメディカルと長崎大学が共同開発した新型コロナウイルス迅速遺伝子検出システムが行政検査として実施可能になりました
キヤノンメディカルシステムズ株式会社(本社︓栃木県大田原市 社長︓瀧口 登志夫 以下、キヤノンメディカル)は、国立大学法人 長崎大学(以下、長崎大)とともに、遺伝子増幅法である蛍光LAMP法(注1)を用いた「新型コロナウイルスRNA検出試薬 Genelyzer KIT」(注2)を開発し、これを用いた迅速遺伝子検出システム(以下、本システム)が、この度、厚生労働省及び国立感染症研究所による「臨床検体を用いた評価結果が取得された2019-nCoV遺伝子検査法について」(注3)2020年3月26日版において、本システムが陰性一致率100%、陽性一致率90%以上として結果が公表されました。このため、厚生労働省の通知(注4)により、本システムを行政検査に使用することが可能となりました。
本システムは、15ウイルスコピー/反応以上の陽性検体は10分程度で100%検出する性能を有し、前処理の時間を入れて検査結果を得るまで最短40分と、従来の遺伝子検査法に比べて迅速な検査を実現します。この特長を活かし、今後、当日検査などが求められる臨床現場や空港などの防疫・水際対策などでの実用化研究(事業名︓厚生労働科学研究費補助金「新興・再興感染症のリスク評価と危機管理機能の実装のための研究」)を進めてまいります。
なお、本システムは、2月に国立感染症研究所からの開発協力要請を受け、長崎大とともに日本医療研究開発機構(AMED)の感染症実用化研究事業に参画して取り組み、厚生労働省ほか関係者の協力による産学官連携の成果で短期間での実用化ができました。
本システムが医療現場等で広く活用されることにより、国内の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大防止に役立つとともに、日本発の迅速検査システムとして世界の感染症対策にも貢献できることを期待しています。


以上
(注1) 栄研化学株式会社が開発した核酸増幅法であるLAMP (Loop-Mediated Isothermal Amplification )法
(注2) 本システムは、患者検体から新型コロナウイルス遺伝子を検出するまでに要する時間が、検体の前処理操作(ウイルス遺伝子の抽出)を含めても40分以内と、短時間でウイルスの遺伝子が検出可能です。また、本システムで用いる装置は、軽量かつコンパクトであるとともに操作性も優れており、医療現場や離島等での使用に適しています。
(注3)






血液から抗体検査
医療機器開発ベンチャーのセルスペクト(盛岡市)は10日、血液中から新型コロナウイルスの抗体を検査し、感染を確認する「クオリサーチELISA(エライザ)キット」を開発したと発表した。

 キットは数滴の血液に10種類の特殊な試薬を加え、色の変化で抗体による免疫の有無を測定。約2時間で結果が判明する。

 ウイルスの遺伝子を調べて感染を判定するPCR検査とは異なり、ウイルスに対する抗体を調べるため、過去の感染や感染後の経過なども確認できる。PCR検査と併用することで、感染確認の精度が上がるという。

 キットは今後、全国の大学や医療機関に販売され、臨床研究などに活用される。岩渕拓也代表は「研究者が臨床データを蓄積し、より適切な予防や対策につなげてほしい」と話した。




DNAワクチン製造に協力
タカラバイオは5日、大阪大発の創薬ベンチャー、アンジェス(大阪府茨木市)と阪大の研究グループが行う新型コロナウイルスのDNAワクチン製造に協力すると発表した。グループは、早ければ今秋までに臨床試験に着手するという。

 一般的なワクチンは、鶏卵内などでのウイルス培養に3カ月以上を要し、感染リスクも伴う。DNAワクチンの場合はウイルスの遺伝情報を使うため、約2カ月で安全に製造できる利点がある。


 タカラバイオは、人工多能性幹細胞(iPS細胞)作成などの実績を生かし、自社設備を使ってDNAワクチンの製造を担う。

 DNAワクチンの副作用については、臨床試験で慎重に見極める。治験を経てワクチンを販売するには国の承認が必要なため、国内市場投入は最速でも今秋以降とみられる。

 新型コロナウイルスのワクチン開発を巡っては、米ジョンソン・エンド・ジョンソンなど世界の大手製薬企業が研究を急ぐ。タカラバイオは「世界的な競争状態にあるが、DNAワクチンは短期間で大量に作れる方法だ。産学連携でできるだけ早く届けたい」とする。