【松原照子】世見 2017年3/10(金)



帝国ペルシャ  



激動という言葉が好きなわけではないのですが、「激動」この言葉が似合い過ぎる国、イランが頭の中を過ぎります。この国に石油が出なかったら、ステップ地帯は乏しい草を必死で求めて、山羊や羊が集まる景色になっていたことでしょう。


私などは、イランと言われるよりペルシャの方が馴染むのですが、石油ひとつで大きく変化した国になってしまいました。


かつてはシルクロードに象徴され、ペルシャ絨毯など、私が憧れを抱く素晴らしい作品だらけの国でした。


世界最古の帝国のペルシャ。古代から伝わるゾロアスター教を圧倒したイスラム教。第二次世界大戦後はアメリカとガッチリ手を組み、近代化が進む中で貧富の差が拡大したのも事実です。


私が、不思議な世界の方々から様々なお話を聞く度に思うことは、誰もが我身保全を優先し過ぎるあまりに、幸福の価値観を思い違いしている気がするのです。


今の生活環境に不満や不平を言いたくなる前に、ほんの少しでも世界に目を向けて、幸福感を人より多く見付けて欲しいのです。


日本には、陸続きの国は存在しません。


イランは、南と西にアラブ世界、東はアフガニスタンとパキスタン、北西にはトルコ、北にはロシアが接しています。


イランはユーラシア大陸のほぼ中間にあるため、シルクロードの要衝にもなりましたが、あらゆる民族の移動の通過地点であることが、侵略、征服、又災いをもたらしました。


私達日本人にとって、水は澄み切っているのが常識ですが、世界には、水一杯が命に関わる地域があり過ぎます。古代ペルシャの人々は砂漠で水を得るために、深い地下の運河を造り、地中の湿り気を集める用水路を造りました。


一杯の水のありがたさを忘れてしまっている私達。


幸福は、一杯の水に感謝できることから始まると思えるのです。