化粧品の特許を持つ松原照子・・

こんな科学知識がある?のに、なぜ、パソコンもメールも出来ないのだろうか・・(笑)


発明の名称美白化粧品発行国日本国特許庁(JP)公報種別公開特許公報(A)公開番号特開平10-120545公開日平成10年(1998)5月12日出願番号特願平8-274812出願日平成8年(1996)10月17日代理人【弁理士】
【氏名又は名称】清水 久義 (外2名)
発明者松原 照子 / 田渕 博巳要約目的
優れた美白効果はもとより、いつでも使え、かつ肌への刺激も少ない美白化粧品の提供を目的とする。

構成
美白洗浄液は、尿素と、該尿素100重量部に対してアルコール分を除去したぶどう酒30~100重量部とを含有することを特徴とする。美白液状石鹸は、脂肪酸のカリウム塩の他に、未反応脂肪酸、脂肪酸のモノグリセリドおよびジグリセリドを含有する中性~弱アルカリ性の液状石鹸と、該液状石鹸100重量部に対し、界面活性剤15~50重量部およびアルコール分を除去したぶどう酒3~40重量部とを含有することを特徴とする。美白マッサージクリームは、油分、酸化防止剤、乳化剤、界面活性剤、保湿剤および水の混合物と、該混合物100重量部に対してアルコール分を除去したぶどう酒1~10重量部とを含有する。特許請求の範囲 
【請求項1】 尿素と、該尿素100重量部に対してアルコール分を除去したぶどう酒30~100重量部とを含有することを特徴とする美白洗浄液。
【請求項2】 脂肪酸のカリウム塩の他に、未反応脂肪酸、脂肪酸のモノグリセリドおよびジグリセリドを含有する中性~弱アルカリ性の液状石鹸と、該液状石鹸100重量部に対し、界面活性剤15~50重量部およびアルコール分を除去したぶどう酒3~40重量部とを含有することを特徴とする美白液状石鹸。
【請求項3】 油分、酸化防止剤、乳化剤、界面活性剤、保湿剤および水の混合物と、該混合物100重量部に対してアルコール分を除去したぶどう酒1~10重量部とを含有することを特徴とする美白マッサージクリーム。
発明の詳細な説明 
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、顔や手等のしみやそばかすを薄くして肌を白くする美白化粧品に関する。なお、本明細書において、化粧品の語は洗浄液および石鹸を含む意味で用いる。
【0002】
【従来の技術】かつて日焼けした小麦色の肌がもてはやされた時代もあったが、肌に対する紫外線の有害性が明らかにされるにつれ、また時代の移りかわりによる美的感覚の変化により、白い肌を保とうとする人が増えている。
【0003】従来より美白効果のある成分として、アルブチンやプラセンタエキス等が知られており、これらの有効成分を配合した各種化粧品が市販されている。
【0004】一方、化粧品では、美白を目的とするものに限らず、肌への刺激が少ない天然材料あるいは天然材料に由来する成分を主体とするものが求められている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前述の美白化粧品は長時間肌につけておかなければ美白効果に乏しく、発汗等により肌からとれると効果を失ってしまうため、就寝前などの発汗量の少ない時間帯に使用する必要がある等、用法に制限があった。また、長時間つけてままにしておくと、化粧品に含まれる他の成分である香料、着色料、防腐剤等により、肌への刺激も大きくなる。
【0006】この発明は、このような現状に鑑み、優れた美白効果はもとより、いつでも使え、かつ肌への刺激も少ない美白化粧品の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明者らは、鋭意研究の結果、従来美白成分としては全く知られていなかったぶどう酒に美白効果のあることを見出だし、これら3種の美白化粧品の完成に至った。
【0008】即ち、この発明の美白洗浄液は、尿素と、該尿素100重量部に対してアルコール分を除去したぶどう酒30~100重量部とを含有することを要旨とする。
【0009】また、美白液状石鹸は、脂肪酸のカリウム塩の他に、未反応脂肪酸、脂肪酸のモノグリセリドおよびジグリセリドを含有する中性~弱アルカリ性の液状石鹸と、該液状石鹸100重量部に対し、界面活性剤15~50重量部およびアルコール分を除去したぶどう酒3~40重量部とを含有することを要旨とする。
【0010】また、美白マッサージクリームは、油分、酸化防止剤、乳化剤、界面活性剤、保湿剤および水の混合物と、該混合物100重量部に対してアルコール分を除去したぶどう酒1~10重量部を含有すること要旨とする。
【0011】この発明の3種類の美白化粧品において、美白効果を有する共通成分はぶどう酒である。ぶどう酒は、15%程度のアルコールを含有する発酵酒であり、他にクエン酸、リンゴ酸、酒石酸等の有機酸、グルコース、果糖等の糖類を豊富に含み、pH2.5~3.5程度の酸性であって、健康な肌が弱酸性であることから、低刺激でありながら優れた美白効果が得られる。赤、白、ロゼのいずれのぶどう酒でも同等の美白効果が得られるが、赤やロゼを使用すると着色されて化粧品としての心理的な使用感を損なうおそれがあるため、化粧品の色として一般的な白を使用することが好ましい。なお、この発明の美白化粧品においては、ぶどう酒はいずれもアルコール分が蒸発により除去された状態で含有されているため、含有量はアルコール分を除外した量で規定され、この明細書においても特に記述のない限り、ぶどう酒量は約15%のアルコールを除外した量を示している。また、いずれの美白化粧品においても、アルコール分は後述の製造過程において蒸発除去されるものであり、出発材料にはアルコールを含む状態で計量し使用するものとする。
【0012】第1の発明の美白洗浄液において、尿素は、皮膚の角質層を柔軟にする成分である。尿素およびぶどう酒の配合比は、尿素100重量部に対してぶどう酒30~100重量部とする必要がある。ぶどう酒が30重量部未満では相対的に尿素量が増えてぶどう酒に十分に溶け込まずシャーベット状になり肌への使用感の悪いものとなる。一方、ぶどう酒が100重量部を超えると、美白効果が飽和して多量の配合が無駄になる。特に好ましいぶどう酒の配合量の下限値は、尿素100重量部に対し40重量部であり、上限値は80重量部である。なお、尿素およびぶどう酒以外の原料として、薬品臭を消して化粧品としての使用感を高めるために、適宜香料を添加してもよい。香料を添加する場合は、肌への刺激性の少ない天然香料が好ましい。
【0013】前記美白洗浄液は、好ましくは次のようにして製造される。
【0014】即ち、所要量の尿素およびぶどう酒の混合物を、撹拌しながら常温から50~70℃に達するまで徐々に加熱し、この間にアルコール分を除去する。アルコールの残留量が多いと肌への刺激が強くなるために十分に除去する必要があるが、短時間で除去するために高温にすると、ぶどう酒に含有される酵素類がこわれるおそれがあるため、上記温度範囲が好ましい。なお、香料を添加する場合は、最高温度に達したのちに加える。
【0015】第2の発明である美白液状石鹸は、ベースとなる液状石鹸に界面活性剤およびぶどう酒を添加したものである。
【0016】前記液状石鹸の材料となる油脂は、肌への刺激を抑えるために主として天然油脂を使用することが好ましい。石鹸材料として使用できる天然油脂であれば特に限定されず、動物性の牛脂、ラード、馬油、ミンク油等、植物性の落花生油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、なたね油、糠油等を例示でき、これらの一種または2種以上を使用する。特に、落花生油、ミンク油はワックス分を豊富に含み温熱効果や乾燥防止効果を有するのみならず、皮膚に対する親和性が良いために推奨できる。さらに、前記天然油脂のみでは、匂いが強くなったり低温時に固くなるおそれがあるため、天然油脂から精製したラウリル酸、パルチミン酸、ステアリン酸、ミスチリン酸等の脂肪酸を併用することが好ましい。天然油脂から精製した脂肪酸であれば肌に優しく、天然油脂と同様の使用感が得られる。材料油脂における天然油脂と脂肪酸の配合割合は、70:30~30:70が好ましい。
【0017】また、界面活性剤は、石鹸としての除菌洗浄力を増すとともに、低温時においても安定した液化状態を保つために添加される。界面活性剤は、肌への刺激を抑えるために天然成分に由来するものが好ましく、ヤシ油アミドベタイン液等を例示できる。界面活性剤の配合量は、後述の方法で製造される液状石鹸100重量部に対して、15重量部未満では上記効果に乏しく、50重量部を超えると相対的に前記液状石鹸が少なくなって石鹸としての洗浄効果が却って低下する。従って、界面活性剤は液状石鹸100重量部に対して15~50重量部とする必要があり、好ましい下限値は25重量部、上限値は40重量部である。
【0018】また、ぶどう酒の配合量は、液状石鹸100重量部に対して3重量部未満では美白効果が乏しく、40重量部を超えると相対的に前記液状石鹸が少なくなって石鹸としての洗浄効果が損なわれる。従って、ぶどう酒の配合量は液状石鹸100重量部に対して3~40重量部とする必要があり、好ましい下限値は10重量部、上限値は25重量部である。
【0019】この発明の美白液状石鹸は、上記材料を原料として中性~弱アルカリ性でかつ泡立ちの良い液状石鹸を製造するために、好ましくは、材料油脂を水酸化カリウムで鹸化して脂肪酸のカリウム塩を生成する第1工程と、第1工程の反応液に材料油脂を追加して脂肪酸および/またはそのモノ、ジグリセリドを生成し、液状化およびpHの低下を図る第2工程の2段階の反応によって、中性~弱アルカリ性の液状石鹸を製造する過程で、ぶどう酒および界面活性剤を添加して製造される。
【0020】前記第1工程において、反応釜中で材料油脂、触媒としてのアルコール、水酸化カリウムおよび液状石鹸としての濃度調整のための水を混合加温して鹸化反応させ、脂肪酸のカリウム塩を生成させる。このとき、反応温度が60℃未満では鹸化反応が極めて遅いために実用的でなく、100℃を超えると材料油脂が酸化分解するおそれがあるため、60~100℃で鹸化反応させることが好ましく、特に70~90℃の範囲が好ましい。また、水酸化カリウムは、材料油脂の鹸化反応が終了して脂肪酸のカリウム塩が十分に生成されるように、材料油脂の鹸化価等から化学量論的に計算される量よりもやや過剰に加える必要がある。鹸化反応が終了した状態とは、加えた水酸化カリウムによって鹸化反応が飽和し、過剰分の水酸化カリウムが遊離アルカリとして存在する状態であり、反応中の反応液のpHを監視することによって鹸化反応の終了を知ることができる。具体的には、反応系内に水酸化カリウム水溶液を徐々に加えていき、反応液のpHが10.5~11程度に上昇したときに鹸化反応が終了したと見做すことができる。
【0021】前記第2工程においては、第1工程で得た反応液に材料油脂を追加し、アルコール存在下で40~80℃で48~96時間保持して反応液を熟成させることにより行う。材料油脂を追加して系内の油脂を過剰とすることにより、前記遊離アルカリは追加した材料油脂の鹸化反応に消費され、脂肪酸のカリウム塩の他、脂肪酸のモノグリセリドおよびジグリセリドを生成する。また、第1工程およびこの第2工程で新たに生成された脂肪酸のカリウム塩の一部は、加水分解されて脂肪酸を生成し、この脂肪酸は遊離脂肪酸として存在する他、モノグリセリドまたはジグリセリドとしても存在する。そして、反応液は、これらの脂肪酸あるいはそのモノグリセリドおよびジグリセリドの存在によって、反応液は液状化しpHが低下する。なお、前記脂肪酸のカリウム塩から遊離したアルカリは、再び未反応油脂の脂肪酸のカリウム塩の生成に消費され、これらの反応を繰り返しながら、遊離アルカリは消費され尽くす。したがって、この第2工程により得られた反応液、すなわち製造された液状石鹸は、遊離アルカリがほとんど存在せず、脂肪酸のカリウム塩と脂肪酸およびそのモノ、ジグリセリドとが混在した状態となって、中性~弱アルカリ性の少し白濁した粘調な均一なクリーム状となり、室温まで冷却してもなお流動性のある液状となる。
【0022】製造される液状石鹸のpHは、次に詳述する第2工程の反応条件に従って、7.7~9.7の範囲とする。これは、pHが9.7を超えると石鹸の脱脂力は高まるが使用後に皮膚が引きつった感じとなり刺激性が強くなり、pHが7.7未満では起泡力が低下して油分がべたつき、もはや石鹸としての作用がなくなってしまうからである。
【0023】前記第2工程における反応条件は、反応温度が40℃未満では、遊離アルカリによる鹸化反応および脂肪酸の生成が進まず、80℃を超えると材料油脂が酸化分解されるおそれがある。また、熟成時間が48時間未満では鹸化反応の脂肪酸の生成が不十分で所定のpHまで下がらず、96時間を超えて熟成させても鹸化反応および脂肪酸の生成が飽和して意味がなく、未反応の油脂が酸化分解するおそれもある。したがって、反応温度は40~80℃の範囲で48~96時間熟成させる必要があり、特に好ましくは、50~70℃で60~84時間である。
【0024】また、第2工程において追加する材料油脂量は、反応液の遊離アルカリ量や、使用する油脂の鹸化価等によって異なるが、第1工程で使用した材料油脂の合計量の1~20%程度を使用すれば、遊離アルカリが存在せず上記範囲のpHの液状石鹸を製造することができる。これは、追加する材料油脂量が1%未満では遊離アルカリが残留するおそれがあり、また、20%を超えると反応液のpHが下がり過ぎるためである。特に好ましい材料油脂の追加量は、5~10%である。
【0025】なお、これらの2つの工程は、反応効率を高めるために、水蒸気やアルコールを系外に逃がさないように密閉状態で行うことが好ましい。
【0026】このような製造工程において、前記界面活性剤の添加時期は、第2工程中あるいは第2工程で材料が反応後クリーム状となり、かつ冷却する前が好ましい。また、ぶどう酒の添加時期も第2工程で材料が反応後クリーム状となり、かつ冷却する前が好ましい。反応前あるいは反応中から添加すると加熱が過ぎてぶどう酒に含有される酵素類が壊れるおそれがある。また、冷却後ではアルコールが十分に除去されず、最終製品中に多量のアルコールが残留して肌への刺激が強いものとなる。
【0027】また、香料、薬効成分を添加しても良く、これらも第2工程の反応終了後に添加することが好ましい。
【0028】この第3の発明である美白マッサージクリームの組成において、各材料の配合意義と配合量は次のとおりである。
【0029】油分は、クリームとしての固さを確保するものであり、パルチミン酸、ステアリン酸、ミスチリン酸等の脂肪酸またはこれらの塩他、ワセリン、セチールアルコール等の高級アルコールを例示できる。これらは、肌への刺激を押さえるために天然材料に由来のものを使用することが好ましい。
【0030】酸化防止剤は、前記油分の酸化を防止し、クリームの安定化を図るものであり、ビタミンE,胚芽オイル等を例示できる。
【0031】乳化剤は、前記油分を乳化してクリーム状にするものであり、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセリル、モノステアリン酸POEグリセリル等を例示できる。
【0032】界面活性剤は肌の汚れ落として肌を清浄する成分であり、前記乳化剤としての機能も有するラウロイルグルタミン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセリル、モノステアリン酸POEグリセリル等等を例示できる。
【0033】保湿剤は、肌の潤いを保つ成分であり、ホホバ油、グリセリン、コラーゲン、ラノリン等を例示できる。
【0034】これらの各成分は、化粧用クリームの材料として汎用されているものであり、これらの好ましい配合割合は、油分100重量部に対して、酸化防止剤0.1~0.5重量部、乳化剤5~30重量部、界面活性剤5~30重量部、保湿剤15~50重量部であり、さらにクリームとしての濃度を調整するために30~70重量部の水を加える。
【0035】ぶどう酒は、濃度調整のために加える水を含む上記材料の混合物100重量部に対して、1~10重量部を使用する必要がある。1重量部未満ではぶどう酒による美白効果に乏しく、10重量部を超えるとその効果も飽和する。特に好ましいぶどう酒の配合量の下限値は2重量部、上限値は7重量部である。
【0036】これらの材料を用いる美白マッサージクリームの製造方法は、一般的な化粧用クリームの製造方法に従えば良く、ぶどう酒を含むすべての材料を混合し、一旦70~90℃に加熱したのち、撹拌しながら常温まで冷却する。この間に油分が乳化されて全体がクリーム状になるとともに、ぶどう酒に含まれるアルコールも除去される。
【0037】この発明の3種類の美白化粧品の用法は、いずれも所要量を顔や手につけ、洗顔あるいはマッサージしたのち、洗い流したり拭き取ったりして用いる。
【0038】
【実施例】次に、この発明の3種類の美白化粧品の具体的実施例について説明する。
【0039】なお、ぶどう酒はいずれもアルコール分15%の白ぶどう酒を用い、各表におけるぶどう酒の配合量は、上記アルコール分を含有する製造原料量およびアルコール分が除去された製品中の含有量の両者を併記した。
【0040】[美白洗浄液]
(実施例1~3)後掲の表1に示す割合で尿素とぶどう酒を混合し、撹拌しながら1℃/分の昇温速度で徐々に加熱し、60℃に達したときに加熱を中止し、自然放冷した。
【0041】(比較例1)ぶどう酒のかわりに15%エチルアルコール水溶液を用いた以外は実施例1~3と同じ方法で製造した。
【0042】上記4種類の洗浄液について、20代~70代の女性各100人に対して官能試験を行った。試験は、1回につき1.5CCの洗浄液を用い、顔全体に満遍なくつけて1分間こすったのち、水道水で十分に洗い流した。これを1日1回、30日間続けた。30日間使用後、美白効果について3段階で評価するとともに、肌への刺激を調べた。
【0043】また、参考例として、アルブチンを有効成分とする市販の美白化粧品について、その使用方法に従って、1日1回1.5ccを顔に塗り、塗ったまま10時間放置し、この発明の美白洗浄液と比較した。
【0044】上記試験結果を表1に示す。
【0045】
【表1】

【0046】[美白液状石鹸]まず、製造原料として次に示す材料を使用し、2段階の工程によりベースとなる液状石鹸を製造した。
【0047】製造原料(第1工程)
落花生油 150kgミンク油 100kgパルチミン酸 250kg水酸化カリウム 90kg(25%水溶液に別途調製)
水 940kgエチルアルコール(触媒)25kg製造原料(第2工程)
ミンク油 25kgエチルアルコール 200kg(第1工程)容量1.8トンの密閉式の反応二重釜内に、落花生油、ミンク油、パルチミン酸、エチルアルコール、前記水酸化カリウム水溶液の1/3量および前記水の1/3量を入れて混合し、攪拌するとともに蒸気を加えながら80℃に加温した。そして、反応液を80℃に保持しながら、約7時間をかけて残りの各2/3量の水酸化カリウム水溶液と水とを徐々に加えた。さらに、反応の最終段階ではフェノールフタレイン指示薬により反応液のpHを監視し、pH10.5となるように水酸化カリウム水溶液の添加量を制御した。
【0048】(第2工程)第1工程により得た反応液を同じ反応二重釜に入れたままで、ミンク油およびエチルアルコールを加え、密閉状態で60℃に加温し、72時間熟成させた。反応液は、pH8.7の弱アルカリ性となり、白濁した粘調の液状石鹸を得た。
【0049】(実施例11~14)上述の製造方法の第2工程において、反応終了後、熟成前に、反応物(液状石鹸)100重量部に対して、界面活性剤およびぶどう酒を表2に示す割合で添加し、美白液状石鹸を製造した。界面活性剤はいずれもヤシ油由来のアミドベタイン液を使用した。
【0050】(比較例11)ぶどう酒の代わりに15%エチルアルコール水溶液を用いた以外は、実施例11~14と同様の方法で液状石鹸を製造した。
【0051】上記5種類の液状石鹸について、20代~70代の女性各100人に対して官能試験を行った。試験は、1回につき1.5CCの液状石鹸を用い、顔全体に満遍なくつけて1分間こすったのち、水道水で十分に洗い流した。これを1日1回、30日間続けた。30日間使用後、美白効果について3段階で評価するとともに、肌への刺激を調べた。
【0052】表2に試験結果を示す。
【0053】
【表2】

【0054】[美白マッサージクリーム]
(実施例21~23)以下の材料を混合したベース材料の合計量100重量部に対して表3に示す量のぶどう酒を加え、80℃に加熱したのち、撹拌しながら室温まで自然冷却して、美白マッサージクリームを製造した。
【0055】ベース材料ステアリン酸(油分) 12重量部セチールアルコール(油分) 5重量部ビタミンE(酸化防止剤) 0.1重量部ラウロイルグルタミン酸ナトリウム(界面活性剤、乳化剤) 10重量部ホホバ油(保湿剤) 5重量部グリセリン(保湿剤) 5重量部水(濃度調整) 5重量部(比較例21)ぶどう酒の代わりに15%エチルアルコール水溶液を用いた以外は、実施例21~23と同様の方法でマッサージクリームを製造した。
【0056】上記4種類のマッサージクリームについて、20代~70代の女性各100人に対して官能試験を行った。試験は、1回につき1.5gのクリームを用い、顔全体に満遍なくつけて3分間良くマッサージしたのち、水道水で十分に洗い流した。これを1日1回、30日間続けた。30日間使用後、美白効果について3段階で評価するとともに、肌への刺激を調べた。
【0057】表3に試験結果を示す。
【0058】
【表3】

【0059】表1乃至表3の結果より、この発明の美白化粧品はいずれも美白効果に優れ、かつ肌への刺激も殆どないものであることを確認できた。
【0060】
【発明の効果】以上のように、この発明の3種類の美白化粧品は、ぶどう酒の配合により、いずれも優れた美白効果が得られる。また、ぶどう酒自体は古くから人々に飲用されてきた安全な食品であり、アルコール分も除去されていることから、肌への刺激も殆どない。しかも、その用法は使用後直ちに顔や手から除去するものであって長時間塗布しておく必要はないから、発汗等により美白効果が薄れるおそれがなく、用法の制限や使用条件の相違による美白効果のばらつきもない。
【0061】さらに、上記美白効果の他に、美白洗浄液では尿素の配合により肌の柔軟性が得られ、美白液状石鹸ではベースの液状石鹸による除菌洗浄効果が得られ、美白マッサージクリームでは保湿剤の配合による保湿効果やマッサージによる賦活効果が得られる等、通常の化粧品としての諸効果も得られる。