おはようございます!
先日、電車の中で知らない男性に声をかけられたのでびっくりしたのですが、話をしてみてまたまたびっくり。
私のブログを愛読してくださっている方でした!
ああ、当ブログを参考にして英語を学習している方が少なからずいるんだなあと思って嬉しくなりました、とさ。
さて、今回は、
n が p と b の前だと m になるのはなぜか
ということについてお話しましょう。
英語を学び始めたときに、不思議に思いませんでしたか?
important
なぜ、inportant にはならないのか?
なぜ、n は p の前だと m になるのか?
それは、n の音が、後の子音である p の音につられて、同化 (assimilation)しているためです。
/n/ の音は、「舌頂音」(coronal)と呼ばれ、舌の最尖端やその後ろの部分を使って発音される音です。
n の音を単独で発音してみると、どうやって発音されるかがわかるはずです。舌を使っているなら正解です。
/p/ の音を考えてみます。/p/ は「両唇音」(bilabial)と呼ばれ、上唇と下唇の両方の唇を使って発音される音です。
p の音を単独で発音してみましょう。両方の唇を使って発音されているはずです。
再び、important という語を考えてみます。
この語では、in- ではなく、im- というように、n が m という音に変化しています。
これは、「両唇音」である /p/ の音につられて、/n/ の音が /m/ の音に「同化」(assimilation)しているためなのです。
/m/ の音も、/p/ と同じ「両唇音」であり、両方の唇を使って発音されます。
そう、/m/ と /p/ は同じ場所で発音されるため、
n ⇒ p (舌頂音 ⇒ 両唇音)
という音の流れよりも、
m ⇒ p (両唇音 ⇒ 両唇音)
という音の流れの方がスムーズに発音されやすいのです。
important という語を発音してみてください。
実際、in- という音ではなく、im- という音を発音しようとして両唇を使おうとしているはずです。
これが、n の音が p の音に「同化」したという例です。
後続の音が前の音に影響を与え、前の音の方が同化してしまうので、具体的には「逆行同化」と言います。
この逆行同化については、/p/ だけでなく /b/ の音(正確には「音素」)も同様です。
imbalance 「不均衡」
という語を見てみましょう。
この語は、balance 「均衡、バランス」という語に、接頭辞である in- 「~ではない」がくっついた語になります。
in + balance ⇒ imbalance
均衡ではない ⇒ 不均衡
しかしやはりここでも、in- は im- になっています。
実は /b/ も、/p/ と同じ「両唇音」。両方の唇を使って発音されます(試してみるとわかります)。
ちなみに、/p/ と /b/ の違いは、/p/は「無声」、/b/は「有声」ということです。
簡単に言えば濁った音が「有声」。喉に手を当てて音を発したとき、喉が震えたらその音は「有声音」です。
in- における n の音も、両唇音である b につられて同化を起こした結果、m に変化しているのです。
いかがでしたか?
なぜ n が m の音に変化するのか、その謎は解明できたでしょうか。